発酵黒ニンニクの抗がん作用についてのニュース
発酵黒ニンニク-がん細胞撃退に効果
発酵させたニンニクが持つ悪性腫瘍(しゅよう)や菌の増殖を抑える効果は、生ニンニク
よりかなり強く認められることが、弘前大学医学部保健学科の佐々木甚一教授(65)の研究で明らかになった。
三重県七戸町(旧天間林村)産を使用した発酵ニンニクは既に健康食品として販売されており、
佐々木教授は「県内のニンニク生産業を刺激する起爆剤になれば」と期待を寄せている。
発酵によってニンニク内の成分が大きく変化し、体内にあるがんの免疫細胞を活性化させるらしい。
佐々木教授は「これほど効果があるとは…」と、予想外の研究成果に驚いている。
発酵黒ニンニクは、同町の天間林流通加工(町屋栄之助代表取締役)が手掛ける商品。
同町のにおいが少ない「マイルドにんにく」を、海洋深層水に漬け込んで丸ごと発酵させた。
もともと体に良い野菜として知られるニンニクを、気軽に口にできる食品とするため、開発した方法が発酵だ。
約一カ月かけて発酵させたニンニクは黒く変わり、辛みや独特のにおいもかなり抜け、
果物にも似た甘酸っぱい味となる。
胃腸への刺激も生より弱く、そのまま食べることができる。
発酵黒ニンニクは、甘酸っぱいフルーツのような食感で人気商品となっている。
毎日「発酵黒ニンニク」を食し、すこぶる体調のいいという町屋代表が昨秋、
ニンニクなど県産食品の研究をしている佐々木教授に調査を依頼した。
佐々木教授は、マウス10匹の皮膚に600万個のがん細胞を移植。
3週間にわたり、5匹に発酵黒ニンニクから抽出した成分を定期的に注射した。
うち二匹が治り、残る3匹もがん細胞が5分の1程度まで減った。
一方で注射しないマウスのがん細胞は2倍近くまで増えた。
同様の条件で再び実験したところ、発酵黒ニンニクの成分を与えられたマウスの
5匹のうち3匹の腫瘍は治り、2匹の腫瘍は半分近くまで減少。
しかし、生ニンニクの成分3ミリグラムを打たれたマウスの中で、腫瘍が治ったケースはなかった。
佐々木教授によると、この“治癒”は発酵黒ニンニクが生ニンニクに比べて硫黄化合物が3倍、ポリフェノールが5倍に増えたことなどによるという。
さらにマウスを調べたところ、発酵黒ニンニクの成分ががん細胞に直接効いているのではなく、
発酵黒ニンニク成分ががんに対する免疫細胞を活性化させ、間接的にがん細胞を撃退したと見ている。
また寒天を流したシャーレにO〜157や院内感染を引き起こす緑膿菌(りょくのうきん)、MRSA,カビの一種であるカンジタなど4種類の菌を植え付けて実験を行った。
この結果、寒天に発酵黒ニンニクの成分5%を混ぜた場合は、菌の増殖がかなり抑えられることが分かった。
佐々木教授は「院内感染に効く薬は多くなく、今回の結果は興味深い」と指摘。
町屋代表は「発酵黒ニンニクには健康にいい何かがあるとは思っていたが、
まさか薬並みの効果があるとは…」と驚きの表情。
依頼前は発酵黒ニンニクを知らなかったという佐々木教授は「この結果は予想していなかった。
今後はがん細胞を移植してから発酵黒ニンニク成分を飲ませる方法や、
飲ませてから移植するなど、
口から注入した場合の効果も検証してみたい」と語る。
(参考 デーリー東北新聞社)