ポリ袋を使って簡単に真空調理 健康、時短…可能性大きく

ポリ袋を使って簡単に真空調理 健康、時短…可能性大きく
2012.10.28 12:52 (1/2ページ)

 空気を抜いて加熱する真空調理。ホテルやレストランで広まっているが、家庭でもポリ袋を使って簡単に応用できる。鍋を汚さず、少量の水と調味料で調理ができるため、究極の省エネ料理としても注目されている。(村島有紀)

高い栄養価

 家庭でできる真空調理は、130度程度までの耐熱性があるポリ袋に具材と調味料を入れて空気を抜き、70〜100度で一定時間、加熱する。

 大規模リゾートホテルの総料理長を務めたフードデザイン研究所(東京都文京区)所長、川平秀一(かわひらひでかず)さん(63)は約30年前、真空調理の研究を始めた。普及のため、料理教室を開いたり、著書『ポリ袋レシピ』(アース・スターエンターテイメント発行、1050円)を出版したりした。

 きっかけは、33歳のときに患ったバセドー病。バセドー病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気で、体が常に全力疾走しているような状態となり、大量のエネルギーを消費する。そのため、いくら食べてもおなかがすくため、栄養分を効果的に取る必要に迫られた。

 「タンパク質の凝固温度は60度ほどで、70度を超えると水分が溶け出し、同時に栄養価が失われる。真空状態にすることで具材の栄養分を閉じ込め、効果的に摂取できる」と川平さん。

 加熱方法は湯煎。電気ポットの温度を70度に設定し、ポリ袋が側面に当たらないよう布やネットで包んで加熱する方法や、鍋の湯に皿を沈め、とろ火で加熱する方法がある。野菜の場合、加熱中に具材から出た水分が水蒸気になり、膨張する

このため、ポリ袋のできるだけ入り口に近い部分を結び、袋が破裂しないようにするのがポイントだ。


1つの鍋で複数

 真空調理は、敷き油を使わないため、カロリーが低い▽調味料が従来の半分▽1つの鍋で複数の料理が可能=レシピ=などが利点。

 少量ずつ小分けし、真空状態で冷凍保存すれば、必要なときに湯煎するだけで、乳幼児の離乳食や高齢者の介護食になり、便利だ。鍋を洗わず、繰り返し調理できるため、断水など非常時の調理法としても重宝しそうだ。

 川平さんは「ポリ袋を使った真空調理は忙しいときの時短にもなり、災害時にも活用できる。さまざまな可能性を秘めた調理法」と話している。