「長野県長寿日本一なぜ」 減塩、野菜もりもりの続きです

「長野県長寿日本一なぜ」 減塩、野菜もりもり

続きです。

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■「ぴんころ」合言葉

 減塩の機運が高まっていた約30年前、長野県で生まれた「ぴんぴんころり(ぴんころ)」という言葉がある。「ぴんぴんで元気に長生きし、病気をせずころりと死ぬ」という意味だ。

 健康長寿にあやかって佐久市に建立された高さ1メートルほどの「ぴんころ地蔵」には、1年間に実に約10万人が参拝に訪れる。人々の「ぴんころ」への切望はこれほど強い。 

「日本アルプスの山々に囲まれ、水も空気もおいしい」。地蔵を守る「のざわ商店街振興組合」の市川章人(あきと)理事(63)は言う。

 自然に囲まれた環境のなか、庭先の畑で自分が食べる程度の野菜を作る小規模農家が非常に多く、90歳を過ぎても現役の人はざら。実際、高齢者の就業率は全国1位の29・9%に上り、「ぴんころ」を地で行く。

 県医師会副会長の岡田啓治(けいじ)医師(67)は「健康志向が強く、以前に学んだ知識を実践して次の世代に残そうとするまじめな県民性がある。長野の高齢者は、こつこつと健康を鍛えているんです」と独特の言い回しで説明した。

 ■沖縄、今や「肥満県」

 昭和50年から女性の平均寿命1位の座を守り続けてきた沖縄県がついに3位に転落した。男性も30位に低迷。暖かく、新鮮な魚介をもたらす海に囲まれるという、長野県と正反対の環境が長寿の背景にあったが、食習慣の欧米化の影響を強く受けたとの指摘もある。

 沖縄県は昭和60年には男女とも平均寿命が1位だったが、男性は急激に後退。今や全国トップ級の“肥満県”で野菜摂取率も低い。 沖縄県栄養士会によると、

沖縄県は米軍の占領地だった影響で、ファストフードや肉の缶詰など高カロリーの食材に早くから慣れ親しんできた。県医師会は「生活習慣病を発症する人が多い」と指摘する。

 食の欧米化、高カロリー化は全国的な状況にあり、日本肥満学会副理事長の宮崎滋医師(66)は「沖縄の後退は日本全体の10年後の姿であり、人ごとと思わず節制に努めてほしい」としている

ライフスタイル産経新聞