◇◆その中に見ていたものがあったのだろう◇◆
僕がワールドサッカーを、一番見ていたころは
1994年のW杯アメリカ大会前後でした。
当時は、ルート・フリット、フランク・ライカールト、
ロベルト・バッジョ、デニス・ベルカンプ、
ロナルド・クーマン、ロマーリオ、ベベト、
ゲオルゲ・ハジ、ジャン・ピエル・パパン
がいました。
ほかにも沢山の素晴らしい選手たちがいたの
ですが、この辺にしたいと思いますね。
僕はジャン・ピエル・パパンを中心とした
フランス代表に惹かれていました。
特に1993年の夏に行われた、
W杯ヨーロッパ予選試合 フランス対スウェーデン戦
はハイライトでした。
当時、テレビやサッカー雑誌をみては、何か中身の
詰まったビンのふたを開けたかのように、あふれだす感覚で
物語をつくりノートに書き込んでいました。
しずんだ生活だったのでしょうが、僕も20才を
過ぎ、母に暴力をふるうのもとうにやめていて、
自分の中だけでしたが、(家族にも誰にも
物語のことは話していなかったので)、
世界をひろげ、楽しんでいたのだと思います。
僕はあるフランス人選手の物語をつくっていました。
フランス人の感覚なんて、空想でしか
わかりませんので、フランス映画を観たり、
フランスの小説を読んだりして、キャラクター作り
(主役以外も)をしました。イギリスやロシア、
ドイツ文学も読みました。
ランスやリヨンに所属していたMFでした。
何かに追われるように沢山のトレーニングをしていて、
的を得た発言をするので(意図的にそうしていた
のですが)、外国人にも尊敬されていました。
上半身は細めで(骨格そのものがそうだった)、
でも下半身はよく鍛えられていて太く、強固でした。
安定したドリブルと正確なパスを得意としていました。
「楽しくプレイする」ことよりも「自分は何のために
プレイしているのか、何故ここにいるのか」ということを
考えるプレイヤーでした。追われるように
ハードトレーニングを続けるので、潰れかけたのですが
妻を始め、家族たちの愛情により、立ち直り
あと一歩のところで、アメリカ大会の切符は
逃したものの、「後悔はしないはずだ」と
感じていました。
長くなってきましたので、続きは次回に◇◆