左側にいてくれたんだね

◇◆今でもあの瞬間は忘れられない◆◇

僕はいつも右下にうつむいていた
自分に自信がなく
やりたいことは沢山あっても
やれる度胸も力もなく

会うと逃げるように右側に行き
右下を向いていた

こんなことではやりたいことどころか
まともに生きていく術も身につけられないなと感じていた

はじめて会ってから長い時間が経過した
僕は少しずついろんな人に色々なことを話せるようになっていた

最後に会った時も
僕は右側に行きうつむいていたのだが
左側に居てくれたような気がしてならなかった

自意識過剰な生きづらさ
でもこの時だけはそうは思わなかった
次に会う時は左を向いて笑顔で
「こんにちは!!」と言えるような気がしていたからだ

その願いはかなわなかったが
これからは遠慮なく叱ってくれると思う

僕はこの社会で生きていくスキルをまだ身につけていないが
会うたびにダメ出しをしてくれると思う

古い映画でこんなセリフがあった
観たのはひきこもっていたころなので
はっきりとは覚えていないのだが
こんな言葉だと思う

「その青年は信じる存在が
自分の心の中にこそいるというのだ」

そのとおりだと思います