ある日の心療クリニックの光景から

◇◆なんとな〜く間延びする女の子たちの会話♪◆◇

もう一年近く前になります。
僕は、毎月一回、通院している、
ある心療クリニックへ行きました。

11時過ぎにクリニックに入り、受付で診察券と保険証を提示し、
淡いオレンジがかった薄茶色のゆったり感あるソファに
腰かけます。(ルーム全体が、この色で統一されている感じです。)
そして、バッグから本を取り出し、読み始めます。
(この日のお伴は、道尾秀介の『片眼の猿』でした。)

室内には癒し系オルゴールミュージックがかかっています。
よく注意して聴いていると、音楽がまったく途ぎれないことがわかります。
(曲目は、宮崎駿映画音楽、ビートルズ、坂本龍一の『エナジーフロウ』、
オードリー・ヘップバーンが出ていた映画『ティファニーで朝食を』の
『ムーン・リバー』や、『シャレード』の音楽等々です。
院長さんがご自宅でMIXしているのでしょうか。)

わりと流行っているクリニックで、患者さんは平日でも多いです。
一時間くらいは待つことになるのでしょうか。
(僕は以前、ある大学病院に通院していたことがあるのですが、
そこでは、2,3時間診察待ちは当たり前でした…)

しばらく待っていると、女の子二名連れがクリニックに
入ってきました。ホントに今時の女の子といった感じの
二名で、ファッションも今流、メイクも今流、二人とも
ロングの髪を少しだけ茶色っぽく染めている
かわいらしい容貌の女の子たちでした。

ひとりの女の子が受付をすませ、二人掛けのソファーに
腰掛けました。僕のそばの席に座ったので、
二人の会話がよく聞こえました。

二人の会話に集中していたわけではないので、
断片的に覚えていることが、
「午後の授業で…」、「あの子って、やっぱカワイイよねぇ」、
「…語って全然わかんない、まだわかんない」、
「次のシフトは…さんと一緒〜」

このくらいが覚えているすべてでしょうか。
(わりとよく覚えていますね(^_^;))

そうなんです。いたって普通の女子大生なのですね。
今時の会話ですが、大きな声を出して話をしているわけではなく、
小さめの声でおしゃべりを楽しんでいました。
(僕はそばにいたので聞こえたのですね。)

クリニックのある駅からは、数駅の範囲内で
いくつかの大学があります。そこから、お昼前に来て、
診療をすませ、大学に戻って午後の授業を受けるのかなと思いました。
受付を済ませた女の子が患者さんで、
もうひとりの子が付き添い(親友)なのでしょうか。

「ああ、そんな感じになったのだなあ」

と率直に思いました。
クリニックの室内は、待合室といった雰囲気ではありません。
きれいな植物を植えた容器がルームのあちこちに配置され、
水のきれいな大きな水槽内には金魚が泳いでいます。
(幼い子どもさん連れのお母さんがいらしたときは、
そのお子さんがおもしろそうに水槽の中の金魚をながめています。)
スマートなデザインの本棚には「アエラ」、「anecan」、
「読売ウィークリー」等雑誌が置いてあります。

お医者さんとは、いろいろとお話をしてきたので、
クリニックの内装についてもうかがったことがあるのですが、
やっぱりこだわったそうです。
ある程度、自分でデザインしたとおっしゃっていました。

この日、僕の中で、さらに『クリア』になっていきました。
心療内科(精神科でもよいのですが)に通うこと、
べつに特別な人が通う場所ではない、いたって普通に通う

こころの調子がよくないということは、めずらしいことでも
なんでもない。よくあること、ありふれたことなんです。
僕はそのことをみなさんにお伝えしたかったのですね。

診察後、薬局へ向かいます。
よくしてくださっている薬剤師さんがいらして、
「松尾くん、今度、〜のセミナーがあるのだけれど行く?」
と僕にお聞きになります。

その薬剤師さんには、僕が行っている活動のことをお話しています。
主治医さんにもお話していて、
NL等をクリニックの棚に置かせていただいたこともありました。

これからはもっとその傾向が強くなっていくでしょう。
(話は変わりますが)、あらゆる精神医療が、普遍的になっていくというか
よくあること、(以前の僕は病状の悪い時期もありましたが)、
普通の感覚で心療内科に通い、診察を受け、服薬もする。

松尾が、このように自分が受けている医療のことも、
声をあげてシュプレヒコールしているのではなく、
「よくあることなんですよ」と淡々とお話させていただく

そして、それでいいんじゃないかと捉えている僕がいる。
そう、これでいいのですね☆