『石上露子と与謝野晶子』

(%紫点%) 前期講座(文学・文芸コース)(全14回講義)の第4回の講義報告です。
・日時:4月7日(木)午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「石上露子と与謝野晶子」〜日露戦争をめぐる二人の詩と歌〜
・講師:宮本 正章先生(元四天王寺国際仏教大学教授・石上露子を語る集い代表)
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・右の写真は、月刊文芸誌 「明星」(明治37年11月号 )です。「明星」は与謝野鉄幹の主宰した新詩社の機関誌で、その内容は、詩歌・評論・古典の研究・海外文学の紹介で、装丁や挿絵などの点でも特色を示しながら大きな役割をはたしました。
−「明星」に寄稿した歌人・詩人…与謝野晶子(短歌)、上田敏・蒲原有明(詩)、文学評論(石川啄木、北原白秋、小山内薫、相馬御風など)
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*石上露子(いそのかみ つゆこ)の略歴*
・本名 杉山 孝(すぎやま たか)。明治15年(1882年)、南河内の大地主・杉山家の長女として生まれる。明治40年(1907年)、文芸誌「明星」に「ゆふちどり」の筆名で掲載された詩”小板橋”で絶唱される。
・富田林に居ながら、明治期の中央歌壇で注目を集め、与謝野晶子・山川登美子・茅野雅子・玉野花子とともに「新詩社の五才媛」と称せられた。
・昭和34年(1959年)78歳没。
*与謝野晶子(よさの あきこ)の略歴*
・明治11年(1878年)、大阪府堺市の老舗・和菓子屋「駿河屋」の三女として生まれる。
・明治33年(1900年)文芸誌「明星」に作品を発表、与謝野鉄幹と出会い、1901年に上京し、鉄幹と結婚。歌集「みだれ髪」で注目を浴びる。
・与謝野晶子は多彩な活動家。歌人(5万首もの歌を残す)・詩人・古典研究家(「源氏物語」の現代語訳)・小説・童話・戯曲作家・教育家・評論家
・昭和17年(1942年)64歳没。
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(%エンピツ%) 講義の内容
Ⅰ石上露子の日露戦争をうたった短歌
一.日露戦争前後の石上露子の境涯
・[日露戦争1904年(明治37年)2月〜1905年(明治38年)9月−日本とロシアとの間で、朝鮮半島と満州南部を主戦場とした戦争。]
二.日露戦争の間、新聞・雑誌に発表した作品
三.石上露子の日露戦争を詠んだ短歌の解釈と鑑賞
「みいくさに こよひ誰(た)が死ぬ さびしみと 髪ふく風の 行方見まもる」
【口訳】日露の激しい戦いの報を聞くと私の胸は痛む。今宵は誰が戦死するのだろうかと思うと、なんともいえず寂しいので、私の髪を乱して吹いて過ぐる風の彼方に瞳を凝らすことだ。
四.「平民新聞」の購読
・[平民新聞−幸徳秋水と堺利彦は平民新聞を創刊。思想的には反戦論と社会主義を唱導。←石上露子は平民新聞を購読]
五.「みいくさ・・・」の歌は歩兵一等兵瀧谷房吉への挽歌か
六.もうひとつの「みいくさ・・・」の歌
「みいくさに 在るはかしこし さはいへど 別れし君ぞ われの泣かるる」
【口訳】この聖戦に出征しているのは名誉のことだ。そうとは言え、別れたあなたを思うと、おのずと涙が出てくる。

Ⅱ与謝野晶子の詩「君死にたまふこと勿れ」について
一.「明星」明治三十七年九月号に発表
「君死にたまふこと勿れ」
あゝをとうとうよ君を泣く
君死にたまふことなかれ
末に生まれし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとをしへしや
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二.大町桂月の非難文
・晶子の「君死にたまふこと勿れ」は、時代の背景(日露戦争に熱狂する世間)から思想的主題をめぐる論争を巻き起こして反響をよぶ。
三.晶子の反論
・文芸評論家・大町桂月に激しく非難されたが、晶子はこれに対し「明星」明治37年11月号で反論。
四.角田剣南の晶子擁護論と桂月の反論
五.識者の「君死にたまふ・・・」観
・佐藤春夫(詩人・小説家)、矢野峰人(詩人・英文学者)、深尾須磨子(詩人・晶子の弟子)、田辺聖子(小説家)
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(%ノート%) 富田林が生んだ明星派の歌人・石上露子についての講義は、継続して行う予定です。

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(%青点%) 《連絡事項》 受講生の皆様へ…前期講座(歴史コース)4月19日(火)の上野先生の講義は、開催します。
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