(%紫点%) 前期講座(文学・文芸コース)(3月〜7月:全14回講義)の第7回講義の報告です。
・日時:5月12日(木)午後1時30分〜3時40分
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「万葉空間」(3) 〜万葉集の世界に遊んでみませんか〜
・講師: 辻 孝子先生 (カルチャー講師)
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(%エンピツ%) 講義の内容
1.季節の花と「歌」
〈紫陽花(あじさい)〉
・万葉集にみられるアジサイは、「ガクアジサイ」と考えられている。
(4448)「あぢさゐの 八重咲く如く 八つ代にを いませわが背子 見つつ 偲はむ」(橘諸兄)(「寿歌」・丹比国人宅での宴会で…橘諸兄は政界トップ)
・あぢさゐ=安治作為(万葉集仮名)→ アジサイの名は、「藍色が集まったもの」を意味する「集真藍(あづさい)」が訛ったものと言われる。
・江戸後期、シーボルトは、「お滝さん」こと楠本滝という女性を愛し、アジサイの花を「オタクサ」などとよんでいる。
〈躑躅(つつじ)〉
・茵、都追慈、管仕、乍自←(”つつじ”を表す万葉集仮名)
(185)「水伝ふ 磯の浦廻の 石つつじ 茂く咲く道を またも見むかも」(草壁皇子の舎人(とねり)=近臣の詠った「挽歌」)
2.今日の「万葉集」
(485) (長歌) 「神代より ・・・・ 人多(さは)に 国には満ちて あぢ群(むら)の 去来(かよひ)は行けど わが恋ふる 君にしあらねば 昼は・・・・夜は・・・・・・・眠(い)も寝がてにと 明(あか)しつらくも 長きこの夜を」(岡本天皇の御製一首)
・岡本天皇(おかもとのすめらみこと)…岡本の宮(舒明or斉明)
・あぢ群…わが恋ふる君に → (人が国中にみちて、あじ鴨のように騒いで行き来しているけれど、わたしの恋しい君はそこにいないから)
・昼は…夜は…長き夜を → (昼は日が暮れるまで、夜は夜の明けるまで、あなたを思い続けて眠れないままに、眠れずに一夜を明かしてしまいました。長い長いこの夜なのに)
(486) (反歌) 「山の端に あぢ群騒き 行くなれど われはさぶしゑ 君にしあらねば」
(対訳)「山際をあじ鴨の群れが騒いで飛んでゆくけれど、わたしはさびしい。君がそこにいないから」
・さぶしゑ…ゑは感動の助詞
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○大化の改新
・「万葉集」…舒明天皇即位(629年)から大伴家持の最後の歌が詠まれた759年までの約130年が万葉の時代。
・万葉集を理解するためには、時代背景、人物の相関関係を知ることが重要(右の藤原氏・大伴氏・橘氏の系図を参照) → 皇位継承をめぐる様々な争乱とその運命。
・今日は、大化の改新[645年(皇極四年)]を古典コミック「万葉集」を読みながら学びました。