『邪馬台国時代』

(%緑点%) 後期講座(歴史コース)の第1回の講義報告です。
・日 時:9月6日(火)am10時〜12時
・場 所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演 題: 「邪馬台国時代」
・講 師: 笠井 敏光 先生(文化プロデューサー・大東市総合文化センター館長)
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○今日は、平成23年度後期講座(歴史コース)の開講日です。
【後期講座(歴史コース)ご案内】
・期 間:平成23年7月〜平成24年1月
・開催日:(月3回)−火曜日、午前10時〜12時−
・講義数:15講義
・講義内容:「古代史」(日本/4講義、東アジア/2講義)、「中世史」(日本/2講義、東アジア/1講義)、「近世史」(2講義)、「古典」(古事記他/1講義、平家物語/1講義)、「住吉大社1800年(現地講義)」、「鳥井駒吉」
・講 師:10名−(講師は、各分野でご活躍の先生方です。)

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(%エンピツ%) 講義の内容
1.はじめに
・「魏志倭人伝」について
・畿内大和説と北部九州説…江戸時代から関心を集め、今に至るまで論争が続いている。
2.邪馬台国への道程
*対馬・一支・末盧・伊都・奴・投馬・邪馬台国の距離・方向にもとづく位置関係、国の様子や官制
・弥生社会の境界=対馬国
・内なる世界=一支(いき)国
・北部九州の玄関=末盧(まつら)国
・倭国の九州出張所=伊都(いと)国
・北部九州の中心=奴(な)国
・位置が不明=不弥(ふみ)国・投馬(とうま)国・邪馬台国

3.女王の都する邪馬台国
・女王である「卑弥呼」
・卑弥呼が統治するのは女王国でなく、倭人伝に記されている三十余国(これらを総称して倭国と呼ぶ)。
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笠井先生は『畿内大和説』
−倭国は、畿内から西部の西日本全体と考えられる。
−邪馬台国はヤマト国と呼ばれていたが、現在の奈良県である大和国と同じではない。大和・河内(和泉を含む)・摂津・山城を含む畿内全体と考えている。
【右上の地図は、魏志倭人伝の諸国の推定位置】
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4.邪馬台国時代
180年頃・・・・・・・・・・・倭国大乱(西暦100年頃より倭国大いに乱れる)
184年(中平元年)・・・大乱終結=卑弥呼即位か
238年(景初2年)・・・・魏、公孫氏を滅ぼす
239年(景初3年)・・・・卑弥呼、魏に使いを送る(親魏倭王に任じられ、鏡等もらう)
248年(正始9年)・・・・この頃、卑弥呼死す(台与(とよ)、魏に使いを送る
265年(泰始元年)・・・・魏が滅び、西晋が興る
266年(泰始2年)・・・・倭女王(台与)、西晋に使いを送る

●邪馬台国時代と織豊時代の類似性
・邪馬台国時代
(倭国大乱)⇒邪馬台国時代(約60年?)⇒古墳時代(前方後円墳体制)約300年間
・織豊時代
(戦乱の時代)⇒織豊時代(約40年間)⇒江戸時代(幕藩体制)約260年間
*邪馬台国時代と織豊臣時代は、短期間であり、一代のカリスマの時代。
●畿内大和説と北部九州説について
①2説の論争(史学会)
・京都大学−畿内大和説⇔ 東京大学−北部九州説
・要点(「畿内大和説」…大和と邪馬台が同系列の音韻。倭人伝に記述された行程が大和までの距離と一致。唯一、方角が合わない。)⇔(「北部九州説」…方角は合うが距離が短い。)[早わかり日本史(河合 敦著・日本実業出版社・2006年2月発行より]
②畿内は周辺とネットワークを組んでいた
・畿内全体で面的なネットワークで交流
・北部九州は、個別に独立
③高地性集落の分布
・高地性集落は、瀬戸内海沿岸や近畿地方の主として海を望む見晴らしの良い高台に多くの集落遺跡が発見されている。(見張り台、イザというときの軍事要塞の役割)
・北部九州の高地性集落は東に向かっている。(都は、東の方にある)
④三角縁神獣鏡
・魏の時代の銅鏡が大和地域で多数発見
⑤金印「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」
・受講生より質問あり…「江戸時代(1784年)、福岡県志賀島で金印が偶然に発見」はどう考えますか?(受講生の多くは「畿内大和説」。しかし、数人ですが「北部九州説」を支持。)[本音を言えば、2説があるがゆえに”古代史”に興味が湧く]
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(%ノート%) 次回の講義案内
・日 時:9月13日(火)am10時〜12時
・演 題: 『三輪山の神話と古代史(二)』〜丹塗矢(にぬりや)に化した神と交わった女の物語〜
(文献:「古事記」・ 「日本書紀」・「山城国風土記」)
・講 師:平林 章仁先生(龍谷大学文学部教授)