(%緑点%) 後期講座(文学・文芸コース)の第13回講義の報告です。
・日時:平成24年1月12日(木)午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「万葉空間」(5)〜万葉集の世界に遊びませんか〜
・講師:辻 孝子先生(カルチャー講師)
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(%エンピツ%) 講義の内容
1.万葉集の季節感(二十四節気)
・「小寒」(しょうかん)…1月6日。寒の入り、寒さが厳しい。
・「大寒」(だいかん)…1月21日。寒さの盛り
・(初夢)「一富士、二鷹、三茄子」
★「富士」を詠んだ歌
(巻3-318) 「田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける」 (山部赤人)
(歌意)(田子(たご)の浦沿いの道を通って、視界が開けた所に出てみると、富士山の高嶺に真っ白に雪が降り積もっていることだ)
*上記の歌は、一部歌詞に変化はあるが、「小倉百人一首」にも収められる秀歌です。
「田子の浦に うちいでてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ 」(山部赤人)
★「初春の雪」を詠んだ歌
(巻20-4516) 「新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)」 (大伴家持)
(歌意)(あたらしい年の初めの初春の今日、めでたくも降る雪のように、いよいよ良いことが重なるように)…万葉集の最後(4516)の歌として置かれています。
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2.額田王をめぐる二人の皇子②
(1)中大兄皇子(後の天智天皇)の歌
☆(巻1-13)「香具山は 畝傍ををしと 耳成と 相あらそひき 神代より かくにあるらし 古も しかにあれこそ うつせみも 妻をあらそうらしき」
☆(巻1-14)「香具山と 耳成山と 闘(あ)ひしとき 立ちて見に来し 印南国原」
☆(巻1-15) 「海神(わたつみ)の 豊旗雲に 入日さし 今夜(こよい)の月夜 さやけかりこそ」
(歌意)(海上に大きくなびく雲に入り日が射している。今夜の月は明るく照ってほしいものだ)
(2)額田王の歌
☆(巻1-8)「熟田津に 船のりせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」(額田王)
(3)大海人皇子(後の天武天皇)と額田王の歌
☆(巻1-20) 「あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守(のもり)は見ずや 君が袖振る」 (額田王)
(歌意)(天皇以外立入り禁止の紫野に入り込んで、私に求愛するなんて。野の番人が見とがめるではありませんか)
・「あかね(茜)さす」は日・昼・紫にかかる枕詞。「紫野」は紫草を栽培している野で、根から染料をとった。
・「標野」は一般の人は立ち入れない野。
・「袖を振る」のは求愛のしるしである。
☆(巻1-21) 「紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆえに われ恋ひめやも」 (大海人皇子)
(歌意)(紫草のようにあでやかなあなたが憎いのなら、もう人妻なのに何で私が恋をするだろうか)
・「にほふ」は、内側からあふれるように、つややかで美しいようす。
・「妹」は男性が妻や恋人を呼ぶ語。
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3.「白村江の戦い」・・・ 「壬申の乱」
【白村江の戦い】(663年)
・661年(斉明七)正月六日、斉明天皇一行は、百済救援のため難波津を出港、九州へ向かった。14日には伊予の熟田津に到着。
・船団はやがて筑紫へつき、那(な)の大津(博多港)についた。(3月25日)
・しかし、四ヵ月後、斉明天皇が崩御。
・中大兄皇子は、母(斉明天皇)の死をいたむ間もなく、筑紫にとどまり、百済救援軍の指揮に全力を注いだ。
・翌662年に、先発部隊として兵5000を出発させ、その翌年に2万7000の大兵力を百済に派遣した。
・663年(天智二)、白村江(はくすきのえ/ハクソンコウ)で、日本軍と百済軍は、唐・新羅連合軍に大敗。
【壬申の乱】(672年)
・天智天皇(中大兄皇子)と大海人皇子(後の天武天皇)は兄弟
・兄の天智が皇位継承者にしようとしたのは、実子の大友皇子(おおとものみこ)。
・当時の慣例では、天皇に有力な弟がいる場合、その弟が兄の跡を継ぐとなっていたが・・・。
・671年12月、天智が亡くなると、大海人皇子は挙兵を決意する。
・672年7月、瀬田橋の戦いで、大友皇子は自害し、大海人皇子が勝利。
・勝利した大海人皇子は飛鳥で即位し、天武天皇になった。
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(%ノート%)文学・文芸コースの次回講義(案内)
・日時:1月19日(木)午後1時半〜3時半
・演題: 「秋成の俳諧と交遊」
・講師: 根来 尚子先生((財)柿衞文庫 学芸員)