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・日時:10月19日(木)午後1時半〜3時半
・会場:すばるホール(富田林市)
・講師:北見真智子先生(大阪音楽大学講師)
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〇狂言とは…
・狂言は、日本の古典芸能のひとつ。南北朝時代に発生した「せりふ劇」。
・狂言は能と一括して「能楽」と呼ばれる。能は、幽玄美を第一とする歌舞劇。狂言は日常的な出来事を笑いを通して表現。
・狂言の成り立ち…ルーツは奈良時代に中国から伝わった「散楽」(さんがく)。平安時代には「猿楽」(さるがく)と呼ばれる。14世紀末、南北朝時代に喜劇風の寸劇として狂言という言葉が使用され、そのころは「おかし」とも呼ばれていた。
(「散楽」→「猿楽」→【「能」(歌舞劇)・「狂言」(滑稽な物真似/寸劇)・「大道芸」(曲芸・奇術)】
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〇狂言の種類(*右の資料を参照)
「脇狂言」、「大名狂言」、「小名狂言(太郎冠者狂言)」、「聟(むこ)狂言」、「女狂言」、「鬼狂言」、「山伏狂言」、「出家狂言」、「座頭狂言」、「舞狂言」など。
〇狂言の表現の工夫…セリフとしぐさによって筋を展開
[始め]→狂言のほとんどが【名のり】ではじまる。「これはこの辺り(あた)りの者でござる」など。
[終わり]→【留め】舞台上で演技が完了。「くさめ留め(くしゃみ)」など。
〇現在の流派
・大蔵流:大蔵家、山本家、茂山家、善竹家
・和泉流:山脇家、三宅家、野村家
(狂言師は、東京・名古屋・京都・金沢などに在住。)
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〇狂言『止動方角』(しどうほうがく)
・分類:小名狂言(太郎冠者がシテとなる狂言)
・登場人物:シテ「太郎冠者」、アド「主人」、アド「伯父」、アド「馬」
◆あらすじ
茶の湯が道楽の主人(あるじ)。今日も「茶比べ」の会があって出かけたいのだが、持っていくお茶がない。そこで、裕福な伯父から借りようと太郎冠者をつかわすことに。ついでに持って行く太刀と乗って行く馬も借りて来いという。内心うんざりしている太郎。しかし、伯父は茶・太刀・馬、すべてを快く貸してくれた。…伯父は太郎に、「この馬は悪い癖があって、後ろで咳でをすると暴れ出すので気を付けよ」。それを鎮めるには「寂蓮童子六萬菩薩、鎮まり給へ」(じゃくれんどうじ ろくまんぼさつ、しずまりたまへ)と呪文を唱えると鎮まる、と教えてくれた。…主人は、冠者の帰りが遅いと迎えに出ている。「よく借りてきた」とも言わずに、主人は馬に乗るので、太郎は咳をする。と、馬は暴れ出して主人を振り落とす。そこで伯父に教えられた呪文を唱え、馬を鎮めるが、主人は「もう馬には乗らない」と言い、それならば太郎が乗り、茶壷や太刀は主人が持って歩くはめになる。…馬で乗る者は主人だからと、主人になりすまして乗り、ふだんの主人の小言をそのまま真似をするので、主人は腹を立て、太郎を突き落とし馬に乗る。太郎はまた咳をすると、主人は落馬して馬は逃げてしまう。太郎は主人を馬と間違えて、主人にまたがる。
・太郎冠者…狂言の代表的な登場人物で、身分は低い。
・(みどころ)…わがままで気短な主人。知恵ある太郎冠者との会話が、あいだに馬をいれて繰り広げられる。馬は黒頭で、赤い縫いぐるみを着て活躍する。(*右上の場面は、一度落馬して代わりに太郎冠者が馬に乗り、主人が茶壷と太刀を持って従っている場面)。日頃のうっ憤を晴らそうと、主人に報復。ここに、下克上が感じられる。