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・日時:4月17日(火)am10時〜11時50分
・会場:すばるホール(富田林市)
・講師:宮田由紀夫先生(関西学院大学教授)
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○アメリカの政治経済システムの特徴
◆三権分立
・民主主義国家では、立法(議会)、行政(大統領)、司法(最高裁判所)が独立して互いに牽制し権力の集中を防ぐ、三権分立と呼ばれるシステムができている。アメリカの場合、これが堅固である。
・アメリカの場合、上院与党、下院与党、大統領の政党の三つが一致しない限り「ねじれ」が生じる。
・最高裁判所の裁判官は、大統領が任命して上院が承認する。就任したら、任期はなく、死亡するか自ら引退するまで勤め続ける。(以前の大統領に任命された人が引き続き職にとどまるので、政権は大きく変わっていることがある。)
◆州権主義(大統領選の不思議)
・アメリカでは、州政府が独自の憲法を持っていて、独自に州を治めている。州の自治権の範囲は大きい。
・州権主義の表れが大統領選挙の仕組み。人口に比例した選挙人が各州に割ら当てられるが、勝った候補がその州の選挙人を総取りする。→[2016年米大統領選挙](選挙人)トランプ:306人、クリントン:232人。(得票数)クリントンが約290万票上回る。
・米国議会は、各州2議席=合計100名によって構成される上院と、人口に基づいて州ごとに議席数が決められる下院(定数435名)からなる。
◇アメリカ大統領の権限
・憲法第2条:行政権はアメリカ合衆国大統領に与える。大統領は米国軍の最高司令官である。
・議会で通った法案は、大統領が署名して初めて法律となる。(拒否権を行使することができる。)
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○異端のトランプ政権
・保守的…環境(地球温暖化)での規制緩和、医療保険制度廃止(医療保険加入を義務付けたオバマケアの廃止)、金融の規制緩和。
・非保守的…保護貿易、製造業をターゲットにして産業政策。米国内では自由を重んずる一方、海外に対しては、保護貿易、移民排斥といった保護主義を掲げる。(自国の経済が悪化すると、保護主義が台頭)
・トランプが「アメリカ第一主義」を唱える背景にあるのが、アメリカの貿易赤字。→スローガン「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大な国にしよう)。
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○アメリカの経済政策
・「産業政策論争」…1980年代初めと90年代初めに、アメリカ産業の対日競争力低下⇒日本の通産省(当時)の産業政策が過大評価される⇒アメリカでも産業政策の是非が議論されるが、結果的には実現はされなかった。それゆえに?アメリカ経済は90年代に好調。
・「特許政策」…(1935〜1970年代末):アンチパテント(特許を重視しない)。(1980年代〜2010年):プロパテント(特許を重視する)。日本に模倣させない(特許侵害訴訟を起こす)。現在は、プロパテント維持派(医薬品、大学、基本特許を持つエレクトロニクス企業)。アンチパテント転向派(電子・機械、ソフトウエア)。
・「反トラスト政策(独占禁止法)」…共和党:自由放任主義。民主党:(大.企業)に厳しい反トラスト政策。(政権によって振れている)。
・共和党の政策…市場メカニズムへの信頼。自由放任主義(企業の好きにさせれば経済は繁栄する)。自助努力の重視(福祉切り捨て)。イノベーションも政府の役割は基礎研究に支援のみ。クリントン政権のハイテク産業振興政策は、予算削減。
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**あとがき**
・日米貿易摩擦を思い出す。…1980年代、日米貿易摩擦に伴うジャパンバッシング(日本車や日本製の家電がハンマ−でたたき壊される)。(1980年代、米国貿易赤字の約50%が日本。現在は、中国50%、日本は約10%。)
◇日米首脳会談(2018年4月17日・18日)…米フロリダ州で安倍首相とトランプ大統領の会談。「北朝鮮問題」、「貿易・通商問題」など。
・貿易・通商問題…米側は「米国は多額の対日貿易赤字を抱えている。それを取り除き、均等にしたい。二国間の自由貿易協定(FTA)が望ましい」。日本側は「TPP(環太平洋経済連携協定)が両国にとって最善と考える」。⇒日米間で厳しい交渉が予想される。