(%紫点%) 前期講座(文学・文芸コース)(3月〜7月:全11講義)の第11回講義の報告です。
・日時:7月19日(木)午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題: 「蕪村・月渓」
・講師: 根来 尚子先生(柿衞文庫 学芸員)
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(%エンピツ%) 講義の内容
◆蕪村の略年譜
○江戸時代、絵筆をとれば俳画から文人画まで自在にこなし、俳句を詠んでは芭蕉と並ぶ。旅をつづけた若き日、京都に腰を落ち着けた円熟の晩年。
・1716年(享保元年):摂津国東成郡毛馬(けま)村(大阪市都島区毛馬町)に生まれ。
・1735年(享保二十年)頃:20歳。江戸に下り、夜半亭巴人(はじん)(宋阿)という俳諧師に入門。
・1742年(寛保二年):巴人没。江戸を去り、関東・東北を10年近く巡歴。
・1744年(延享元年):29歳。宇都宮で自選『歳旦帖(さいたんちょう)』を出版。 「蕪村」の号を用いる。
・1768年(明和五年):53歳。この年から京都に定住。
・1770年(明和七年):55歳・夜半亭二代目をつぐ。
・1783年(天明三年):68歳没。金福寺芭蕉庵の傍に葬られる。
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○蕪村俳画をたのしむ① …『蕪村筆紫陽花ほととぎす図』(右上の図)
・句の上にほととぎす。左下に紫陽花(あじさいは恋に関係)を描く。余白を大きくとり、取り方が素敵。
・岩倉の若い狂女が、恋人を慕って号泣することを幻想。ほととぎす(時鳥)の鳴き声は狂女が狂って号泣する声に重なってくる。
・岩倉(京都市左京区岩倉)にある大雲寺境内の滝は心の病を治すとされて全国からの参拝者が絶えない。
☆ 「岩倉の 狂女恋せよ ほととぎす」 (蕪村)
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1.『俳画の美』(岡田柿衞氏・昭和48年)
・俳画とは?…「画で俳諧する」ことである。句を作るのと同じセンスで画を描くことをいう。
・俳画の条件…「省筆の草画→余白を生かす」、「着彩は極めて淡白か、水墨画」、「庶民生活につながるが、格調高く清新→ユーモラスの表現を行なっても詩美を忘れない」など。
・真の俳画は省筆に中に百般の情が醸成されるものである。これを俳画の美という。
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○蕪村俳画をたのしむ②…『蕪村筆「又平に」句自画賛』
・いかにも楽しげな顔つき、羽織を片肌ぬぎに、しまりのない格好。とび跳ねるような踊りの足さばき。足元にころがる空の瓢(ひさご)。…春の花ざかりの酒宴のさまを伝えています。→たった一つのひさごをころがしただけで、花下の酒盛り場面を彷彿とさせる。
・ 「又平に 逢うや御室の 花ざかり」 (蕪村)
又平…近松門左衛門の浄瑠璃「傾城反魂香」に登場する画家・浮世又平
御室…桜の名所、京都仁和寺
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○蕪村俳画をたのしむ③ …『蕪村筆角力図』
・大柄の力士に、小兵力士がもろ差しになりながら、かんぬきを決められても動じることなく、頭をつけてしぶとく食い下がっている取り組みの場面。
・行司の足先は、身軽な身のこなしがみられます。
☆ 「負(まく)まじき 角力を 寝ものがたりかな」 (蕪村)
(句意…今日の相撲は負けるはずがなかったんだと、布団に入ってからも愚痴をいっている場面をよんでいます。大男に似合わず、いつまでもくよくよする様がいかにもおもしろい)
・蕪村自身の句をふくめて、五俳人の句が並べてある。芭蕉門.下の嵐雪、蕪村と交流のあった柳居と太祇、蕪村の弟子・几董。
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*蕪村は、すぐれた文人画(南画)家で、池大雅と双璧と評される絵師であった。
*芭蕉の作品を絵画化→「野ざらし紀行図」、「奥の細道図」を制作しているが、蕪村の挿絵はことごとく人物図であり、名所や風景は挿入していないのが特色。
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2.月渓
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◇月渓の俳画…『月渓筆網引自画賛』
・月渓は、やわらかく自由な線、人物の動き(足元の動き)など、蕪村の全てを取り入れようとしています。→また、文字までも蕪村に似ています。
・ 「いわしひく 網をはじめて 敏馬(みるめ)かな」 (月渓)
(句意…いわしを引く網をはじめて、みるめ浜(見る目にかけている)で見ましたよ)
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◆月渓略年譜(1752〜1811年)
・1752年(宝暦二年):京都に生まれる。(蕪村37歳)
・1772年(安永元年)頃:21歳、蕪村に入門(蕪村57歳)
・1782年(天明二年):31歳、姓を「呉」、名を「春」と改める
・1783年(天明三年):32歳、蕪村臨終まで、師の看病(蕪村68歳没)
・1795年(寛政七年):44歳、円山応挙没。応挙没後は四条派を樹立
・1811年(文化八年):60歳、自宅で没。
◆月渓は、蕪村から俳諧と絵画を学ぶ。天性器用で師蕪村の画風を非常に良く修得する。蕪村没後は応挙に接近し、写生を学ぶ。蕪村の詩情ある南画・俳画に、写生を加味させ、四条派とよばれる軽快洒脱な新様式を樹立した。
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(%ノート%) 『柿衞文庫』(かきもりぶんこ)の紹介
・岡田利兵衛氏(柿衞翁)による俳文学コレクション
・芭蕉直筆の「古池や」の句短冊、柿衞本「おくのほそ通」などを含めておよそ1万点にもおよぶ日本三大俳諧コレクションの一つです。
*秋季特別展「俳画の美−蕪村・月渓」のご案内
・期間:9月22日(土)〜11月4日(土)
・会場:(財)柿衞文庫
・住所:伊丹市宮ノ前2丁目5-20
・TEL:072-782-0244
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(%赤点%) 平成24年前期講座(文学・文芸コース)(3月〜7月:全11回講義)は、
7月19日で終了しました。
講師の先生並びに受講生・聴講生の皆様に、厚くお礼申し上げます。
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