『近代俳句の歩み』

(%紫点%) 後期講座(文学・文芸コース)(9月〜1月:全11講義)の第11回講義の報告です。
・日時:平成25年1月31日(木)午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題:「柿衞文庫に見る近代俳句の歩み」
・講師:吉田 美幸先生((財)柿衞文庫 学芸員)
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☆『柿衞文庫』(かきもりぶんこ)は、俳書・軸物・短冊など約1万点を収蔵する日本三大俳諧コレクションの一つです。(住所:伊丹市宮ノ前、電話:072-782-0244)
・右上のチラシは、現在、開催中の新春特別展「寄贈コレクションによる俳句のあゆみⅡー山頭火・碧梧桐・秋桜子・誓子・草田男」です。
・尚、第Ⅰ回は、昨年に開催し、正岡子規をはじめ日本派からホトトギス派を、いわゆる伝統俳句を中心に紹介しています。

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(%エンピツ%) 講義の内容
今日の講義は、『柿衞文庫』の寄贈コレクションから《近代俳句のあゆみ》をたどりました。
正岡子規
・俳句の革新運動…「写生」に根ざした近代俳句を創出。「発句」から「俳句」へ。
高浜虚子・河東碧梧桐
・子規の没後、俳壇は、虚子を中心とする「ホトトギス派」と碧梧桐を中心とする「新傾向」に分かれる。
ホトトギス派…五七五調の定型や季題といった伝統を守り、客観写実を深めることを主張。(大正〜昭和初期はホトトギス派が主流)
新傾向…五七五調や季題にとらわれない新しい句作を提唱。
荻原井泉水・尾崎放哉・種田山頭火
自由律派…井泉水は、碧梧桐の新傾向俳句運動に参加。しかし、季題無用論を主張し碧梧桐と訣別し、自由律の俳句を提唱。尾崎放哉、種田山頭火らを輩出。
水原秋桜子・山口誓子
馬酔木…秋桜子は主観写生を主張し、虚子の客観写生を排斥して「ホトトギス」から独立。誓子は、馬酔木に参加し、新興俳句運動を推進。
中村草田男・加藤楸邨・石田波郷
新興俳句・人間探求派…戦争という苛酷な現実に直面し、時代や人間の問題(内面心理)を扱うことを提唱。

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*寄贈コレクションの俳句(抜粋・順不同)
「桐一葉 日当りながら 落ちにけり」(高浜虚子)(ホトトギス派・花鳥諷詠)
「降る雪や 明治は遠く なりにけり」(中村草田男)(人間探求派)
「こうろぎになかれてばかり」(種田山頭火)(自由律)
「瀧落ちて 群青世界 とどろけり」(水原秋桜子)(馬酔木)
「海に出て 木枯 帰るところ なし」(山口誓子)(新興俳句)

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【まとめ】
・『近代俳句』は、子規の写生から碧梧桐の新傾向、虚子の花鳥諷詠をへて、誓子らの新興俳句へと、幾度かの重要な新しい進展がありました。
・近代俳句が戦後まもなく終り、現在は、『現代俳句』の時代で、いろいろな俳句観が共存しています。

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(%紫点%) 平成24年度後期講座(文学・文芸コース)(9月〜1月:全11講義)は、
1月31日で終了しました。
講義の先生並びに受講生・聴講生の皆様に、厚く御礼申し上げます。

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