第11回コラボ大学校を開催しました

4月9日(土)、第11回コラボ大学校「英国・ニュータウンと田園都市の旅」(講師:山本茂さん)を開催しました。参加者は約60名。いつものように川上時子さんの素敵なピアノ演奏で始まりました。

ついで山本さんが200枚以上のスライドを用いて、20世紀初頭に建設された田園都市(レッチワース、ハムステッド、ウェルウィン)、戦後に建設されたニュータウン(スティブネジ、ハーロー、ミルトンキーンズ)を旅して見たこと、聞いたことを紹介しました。

千里山住宅地(吹田市)はレッチワース、千里ニュータウンはハーロー・ニュータウンをモデルにしたといわれており、千里と深い関係があります。山本さんがこれらの街を訪れたのは、千里ニュータウンのルーツの再生の状況を知り、千里の街づくりに活かそうと考えたからだそうです。話の趣旨は、次のとおり
●産業革命後の劣悪な住環境を改善しようと、ハワードの『明日の田園都市』の思想に基づいてつくられた田園都市は、約100年を経て美しい住宅都市に成熟している。

●ニュータウンは、広大な緑地を配しながら2階建て住宅を中心にゆったり配置され、維持管理も行き届いており、全体的に美しい。
●3つのニュータウンとも、移民受け入れなどによって人口が増えており、ニュータウンの拡張を計画しているところは千里と異なる。
●再生事業は、地区センターなどで一部見られるものの、近隣センターや住宅地の再生はこれから(千里と同じようなコミュニティカフェを核にした活性化を進めている地区もある)。
Photo:レッチワースの住宅

●再生事業は、ハード面(増改築・建替えなど)だけでなく、ソフト面(就業、教育、コミュニティなど)も含め、総合的に進めている。
●市民参加は、計画づくりなどへの地域団体(教会、警察、防犯など)の参加が中心で、千里のような地域課題の解決に向けた直接的な参加や行政との協働は少ない。
●住宅は社会資本であり、開発は総合的な環境整備(=保全・整備・創出)であるとの考えのもと、行政の強力な権限によって都市づくりが進められている。Photo:スティブネジの住宅地

最後に、ニュータウンの発祥の地で、目に見える形の再生が少ないのは意外だった。当初の計画の考えを大切にし、古いものを手入れしながら活かし、必要に応じて新たな開発を進める柔軟な考えに学ぶところが多かった。千里では建て替えが進められているが、これによって閉ざされた住宅地が増えるのではなく、千里の特徴である「道を選んだり、立ち話ができる“パブリックな動線や広場”」が増えていく方向をめざす必要があるのでは・・と締めくくりました。
Photo:ミルトンキーンズのシティセンター

※当日のレジュメは,下のPDFをご覧下さい。