第36回 千里コラボ大学校を開催致しました。

第36回 千里コラボ大学校を開催致しました。

恒例の音楽演奏は、曲目紹介を加福共之さん、ピアノの連弾演奏
で川上時子さん・丹波淳子さんによるJ.S.バッハ作曲の小フーガト
短調をお楽しみ頂きました。

講演は「四国八十八ケ所お遍路〜1200キロ夫婦歩き旅〜」と題し
て、辻本正直さん・サヱ子さんにお話をして頂きました。

・正直さん84歳・サヱ子さん77歳のご夫妻は、昨年3月11日「東日
本大震災復興祈願」を籠めて3回目のお遍路に臨んだ時の、白装
束に菅笠・金剛杖といった出で立ちで、講演くださりました。

・先ずご主人の登場です。お話は、空海の紹介から入りました。
四国の名門の家に生まれた空海は、18歳で都に出て大和や四国
の山林で修業をし、30歳で最澄らと共に唐に渡り、長安の青龍寺
で恵果和尚から真言密教を会得して僅か2年で帰国したこと。61歳
で入定(禅定)即身成仏。弘法大師の号は入定後80年以上経って
から醍醐天皇から贈られたこと、を話されました。

・四国遍路は空海自身の厄と人々の厄難救済を求めて、霊感の
働く場所を札所と定めたことがその始まりであり、山伏や修行僧が
これに習い、江戸時代には一般庶民にまで広がったそうです。
併せて各時代の代表的な遍路者の紹介がありました。宮崎健樹
さんの遍路では、5〜6年の間に道標を2,000本設置するとともに、
歩き遍路地図を完成されたこと、後世の遍路者は今もこの恩恵に
浴していることを紹介されました。

・そして、奥さんにバトンタッチ。山あり谷あり、そして雨風にもさら
される1,200キロ、今回は49日にもおよぶ遍路です。日頃鍛えたお
身体とはいえ、この2ヶ月弱に及ぶ期間を慎重に行動するとはい
え、お二人の体調が常に万全というわけには参りません。そこは
永年連れ添ったご夫婦、強がりを言ってもその限界点はよく分り
合っています。全行程中2日程休まれたとのことですが、その遣り
取りの中に仲の好いご夫婦の様子が浮かび上がって参りました。

・遍路沿いの人々が食べ物や飲み物、そして励ましの言葉を掛け
てくれるお接待に感謝し、その方々との心の交流を語って頂きまし
た。3回のお遍路と区切り打ちお遍路や遍路道の草刈り奉仕等で
交流を深めた背景もあり、無償で宿を提供して頂く善根宿(ぜん
こんやど)にも泊めて頂いたことのお話もありました。お接待は
善行をすることにより、それが自分に還ってくるとの教え、日頃
忘れがちな心を戒められた思いでお聞きしました。

・再びご主人の登場です。歩き遍路でしか見ることの出来ない美し
い自然や人々との交流の様子を、映像とともに説明して頂きまし
た。その中には、ご夫妻の手で埋められた道標もありました。これ
はご夫妻が遍路した証であるとともに、後世の方々の良き道標
(みちしるべ)となることでしょう。

・お遍路に対する豊かな知識と分り易い資料に加えて、お二人の
お大師さんと一緒に歩む温かい眼差に映った旅路を熱く語って頂
きました。本当にありがとうございました。
 
最後は、本日のテーマに関連する図書紹介を、千里図書館司書の
石田ひろさんにご案内頂きました。

(原田)