第39回 千里コラボ大学校を9月14日(土)に開催致しました。

第39回 千里コラボ大学校を9月14日(土)に開催致しました。

「サンティアゴ巡礼路を歩く 〜人はなぜ歩く〜」と題して、藤原
千惠子さんに講演して頂きました。

講演会の冒頭を飾る恒例の音楽演奏は、シューマン作曲の「ト
ロイメライ」を加福共之さんの解説と川上時子さんの演奏でお楽
しみ頂きました。熱さの残る昼下りでしたが、受講者の皆さまは
心地よい調べに聞き惚れておられました。

講演は「サンティアゴ巡礼路を歩く」と題して、藤原千惠子さんに
語って頂きました。

藤原さんが歩かれたのは、数ある巡礼路の中でも最もよく歩か
れるフランスルート。ピレネー山脈のフランス側の小さな町、サン
ジャン・ピエード・ボーからスペインのサンティアゴ・デ・コンポス
テーラまでの800㎞を地図を使って説明されました。

サンティアゴ巡礼路は、キリスト十二使徒の一人、聖ヤコブ(ス
ペイン読みでサンティアゴ)の墓が星の導きによって発見され
て以来、多くの人々が罪の許しを得るために、この聖地を目指
して旅を続けているとのこと。

2007年、60歳の日経記者が39日で歩いたという手記を見て、
自分も行ってみようと思ったとのこと。事前準備はガイドブック、
紀行文、ネット等で情報を得て、予備日を入れて50日を予想。
荷物は必要最小限に抑えて 10㎏としたそうです。
2009年5月8日、伊丹・成田・パリ、ここからローカル線で出発
地のサンジャン・ピエード・ボーに向かう。到着後直ぐに巡礼
事務所で、クレデンシャル(巡礼手帳)という宿泊所やパール等
でスタンプを押してもらう旅の証明書を発行してもらう。
5月10日巡礼初日、確りと整備された道標や黄色の矢印に沿
って進む。これは州によってデザインも異なり楽しみの一つで
ある。

大きな町パンプローナでは100人程度宿泊が可能なアルベルゲ
(巡礼宿)に泊まったそうです。巡礼者はホタテ貝をザックにぶら
下げて歩きます。5日目にそのホタテ貝を購入し、やっと巡礼者
らしくなったとの事。どこまでも続く麦畑、生い茂る黄色のエニシ
ダと風車が回っている景色などは、重くなった足取りを元気づけ
てくれたそうです。
星降る町エスティジャでは、到着手前に「あなたはスペインには
いない」、ここは「バスクだ」と落書きがあり、民族意識が強いこ
とを知らされたそうです。

カリオンで宿泊した教会での音楽ミーティング。階段下の僅かな
スペースで各国の巡礼者がお国自慢と歌の披露した。藤原さん
も日本を紹介して「さくらさくら」を歌ったそうです。この交流は、
心に残る思い出となったと話されました。

道一杯に拡がって歩く羊の群れ、逃げた馬二頭を自転車で追い
かける女性、そして数多くの牛たちとの出会い等、美しい自然を
背景にした旅が続きました。ポルトマインの手前に100㎞の標識。
見ず知らずの巡礼者が集まって写真を取り合う。疲れを忘れさせ
てくれる一時であったと語られました。

ゴゾの丘は「歓喜の丘」と呼ばれ、サンティアゴ・デ・コンポステー
ラの3つの塔が見えます。ここから一気にゴールを目指し歩いた
そうです。到着後、巡礼事務所で巡礼証明書を貰い、翌日12時
からのミサに出席。道中で顔見知りになった巡礼者の人々との
再会を喜びあわれたそうです。

全長800㎞、予定の50日を40日で踏破した旅。美しい風景と
個性的な地元の人々の暮らしを背景に、その生活の舞台を聖
地を目指して歩む旅行者である巡礼者の姿。
綺麗で印象的な写真と話術によって、受講者の皆さんは、イベ
リア半島の旅行者になった感じで聞き入っていました。十分な
事前準備に基づいての大変楽しいご講演、ありがとうございました。

最後に千里図書館・久山司書さんによる関連図書の紹介をして
頂きました。
多くの書籍を集めて頂き、その内容を紹介して頂きました。

(原田)