日時・場所 平成25年8月31日 14:00〜16:00 於 コラボ第一講座室
参加者 15名(男5名、女10名)
進行役 カフェフィロ 桑原 英之氏
スタッフ 又吉センター長、加福氏、熊谷氏、濱崎
【今回の哲学カフェの印象】
・従来と異なり参加者は女性が多数だった。テーマを見て申込まれた人が多く、女性は旅が好きか。
・女性は、旅を素直に捉え極当たり前に、非日常を楽しむ、好奇心を満たしてくれるという意見が多かったが、男性は旅に人生を重ねて考える人が多いようだった。
・旅は、日常から距離をとることができるので、生活感を引きずる事がない。この様な日常との断絶が、新たな自分発見の切り口を与え、傷心を引きずらず癒しを得やすくするものだ。
・安住の場があるから旅ができるとは名言。動物には安住の場がないから旅をしないのか。
・議論された際のキーワードを列記すると、非日常、逃避、リフレッシュ、充電、好奇心、楽しみ、不知を知る、文化比較、再発見、臨場感、人や自分との出合い、傷心の癒し など
・進行役より、哲学カフェの進め方説明、中間まとめ、発言しやすいようにするガイドあり。全員発言できるように進行されたこともあり、いい議論ができたのではないか。
【記 録】
(順不同 類似発言をまとめ、主な発言を記録)
・日常のストレス、雑事に忙殺される生活を忘れ逃避する。心の沐浴、リフレッシュができる。
・城廻り、動物への給餌などが楽しみで旅するが、自分の生活環境の場ではできないことができる。
・国外から見て日本がどのような国かを知りたくて旅をする。日本の常識が、世界の非常識という事が分かる。メディアは日本の姿を必ずしも正しく伝えていない。
・外国に行って、自国の事を語れぬ自分に気づき、現在は日本を知りたくて国内旅行をしている。
・知らない風習、文化・制度などを知るという、好奇心を満たしてくれる。
・道中で、日常では出会う事のなかった人との出会いもある。
・旅では、楽しい事ばかりでなくトラブルもあるが、予期せぬ何かが起きること自体も楽しむ。
・現地に行ってこそ肌で感じることのできる臨場感は、旅に出ないと得られない。
・その土地でしか入手できないご当地土産などを得ることで、お土産のプレゼント、話題提供によって、人との付き合いの幅を広げ、親密感を深めることができる。
・人間は変化のない繰返しに飽きるものだ。単純に変化(非日常)を求めて旅に出る。
・欧米の文化に直接触れたいとの思いに駆られ、外国に行ったが、しばらくすると、何処に居ても同じだという印象を持った。
・安住の場、帰る家庭があるから旅があると考えられる。
○旅はリフレッシュや楽しみのためなどの発言は理解するが、それらは旅でしか得られないのか。旅でないとダメな理由を聞きたいという質問が発せられた。 以下はある程度それを意識した発言。
・日常生活の環境では困難だが、時間的・空間的に離れることで、自分と向き合い、改めて自分探しや発見ができたりする。挫折時の傷心を癒すこともできる。大事な人を亡くした遺族が、お遍路さんとなって、四国八十八か所巡りをされる人もある。
・僧侶は旅に出なくても、座禅を組んで自分と向き合えるが、凡人は日常から離れなければ自分に向き合えない。旅に出て向き合えるようになれば、旅に出なくても向き合えることができるようになる。旅はそのようなキッカケを与えてくれる。僧侶は旅に出ないのに、旅を話題に説教することが多い。
・僧侶も人の子、旅に出ると解放感からか、はしゃがれることもある。
・過去を捨てるための旅もある。移民などで将来の夢を描いて家族で移動するのも旅。
・山登りが好きな人に“何故山に登るのか”の問いに、“そこに山があるから”と答えたという話がある。これはある意味答えになっていない。上記の質問と答えもこれに似ていて、人間は色々な楽しみとその理由を持っているもの。こうだから旅でなければならないという答えはないのでは。
・何時までも挫折感を引きずらず、切り替えることが必要。気持ちの切り替えの手段は一杯あるが、旅はそれらの手段の一つだ。
以 上
(文責 濱崎)
【追記】
旅と無常感
「旅に出ると人は目前の光景を二度とまみえない風景としてみる。」という。*
何でもない光景も二度とまみえないとあれば「いとおしい光景」となる。
これは我々日ごろ経験するところである。
即ち、旅は人生が一期一会であること、無常であることを実感させる。
翻って旅に出ない日常生活にあっても、目前の光景は二度とまみえない光景であるのだが、そう観ずることは難しい。
凡人たる所以である。
*S.モーム
(加福)