日本とイタリアの生活を見つめて
『イタリアの小さな町の豊かな生活』
講 演 井口勝文 さん
ピアノ演奏 川上時子 さん
イタリアに美術留学中の奥さんと現地で知り合いその後結婚された。
イタリアにほれ込んだ御夫妻がイタリアを旅している中で「イタリアに家を買おう」ということになり、各地で家を探し、日本では過疎地といわれるような小さな村メルカテッロ・スル・メタウロに一軒のステキな家(廃屋)を見つけオーナーと交渉の末、自分達のものになった経緯や現地での生活を優しい語り口で話してくださった。
建築家である御主人にとって、100年以上の歴史を伝える石造りの家は修復するのにもってこいの物件だったよう。イタリアの古い町では景観を壊さず修復をすることが求められるとのこと。
長期の休暇を取ってはイタリアに、家の再建を始めたところ地元の人たちも手伝ってくれるようになり、村の人たちとの親密な交流も始まり、日本とイタリアの充実の二重生活が始まった。
そんなペースで何年も掛け家を完成させた。家の完成だけではなく、村の人たちにも
暖かく受け入れられ、「風景が美しいと人は幸せになれる」「美しい生活は美しい風景を作る」「みんなで美味しい物を食べるのが一番だいじなこと」そんなイタリア人の生活がスライドに映し出される写真の数々に、コラボ大学に来られた皆さんからは、「美し町ね」「ステキな出会いね」「うらやましい生活」と、完成した家の素晴らしさはもちろんだが、井口さん御夫妻が如何にその町の人々と交流し、受け入れられたかに感心を寄せられておられた。
井口さんの場合は、イタリアと日本という地球規模の二重生活で、誰にでもできる事ではないけれど、日本でも都会と地方の二重生活や移住を求められる方が多くなっている今、「地元の人たちとの交流が、より豊かな田舎暮らしが出るよ」とのメッセージとして我々に示唆してくれていた。
京谷 寛 (記)