イタリアは人気が高く、通常のカフェの約2倍、36名の参加者の下、多目的ホールにて、開催しました。
日 時:5月12日(火)10:00〜12:00
話 題:イタリア・トリノ市の余り知られない暮らしぶりを紹介
語り手:千里高校留学中のマッテオ君 18歳
イタリアは、日本人の人気の観光国で、行かれた人も多いと思うが、トリノ市は、ローマ、ミラノ、ナポリあるいは、フィレンツェ市ほど行っていないのではないでしょうか。
マッテオ君は、日本人に知られていないと思われる話題を準備して話をしてくれました。日本滞在わずか9カ月とは思えぬ達者な日本語で、軽口も挟みながらの話で、大好評でした。
トリノ市はイタリア北西部、西アルプスの山麓に位置するピエモンテ州の州都。北緯45度で北海道の利尻島と同緯度で、面積・人口は堺市とほぼ同じ87万人(堺市83万人)の工業都市。大阪はトリノに比べると南なので、温暖な気候と期待してきたが、夏は暑く、冬は寒いので期待外れだったとか。
歴史は非常に古く、古代ローマ時代以前にはこの地にタウリニー人が居住。後にローマ共和国領となる。8世紀末に支配権はランゴバルド族からフランクに移ったが、11世紀半ばにサヴォイ家が統治。以来、トリノ市はサヴォイ家の盛衰と運命を共にした。フランス領にもなったが、フランスから奪還してトリノを公国の首都と定め、1713年サヴォイ公が王号を称し、各地を支配しつつ南下し、シチリア島まで達した。そこから転じて北に向かい、フィレンツェ、ローマ地方も支配し、統一イタリアの中心となった。
ローマ時代以来の歴史的な都市なので、市内には有名な教会堂や宮殿が多い。カリアーナ宮殿は歴史博物館、レアレ宮殿は現在武器博物館を兼ねるなど、多くは博物館、美術館として利用されている。上の写真はサヴォイア宮殿。
トリノは70年前の大戦後、フィアット社を中心に多数の企業が設立され、南部からも多くの人々が働き口を求めて移住し発展した。彼の祖父も20歳の時にシチリア島からトリノにやってきて、以降60年間暮らした。
トリノにはフィアット自動車の本部や工場がある。イタリア国内の殆どすべての自動車会社、例えばアルファ・ロメオやフェラーリも合併し、イタリアの自動車は1社で独占状態になった。しかし、コスト高などで、経営は不振。米国クライスラー社も買収したが、現在も不振から脱出できていない。国民的な人気モデルに500ccの2代目チンクエ・チントという車がある。マッテオ君も大好きでかわいい形をしており、これは動画ルパンの愛車にもなっている。
サッカーの強豪チーム ユベントスはフィアット社のオーナーであるアニエッリ家が設立し、いまも出資・運営をしている。トリノにはもう1チーム、チーム トリノがある。この2チームは宿敵同士で、相手チームとの試合に勝てばファンは大喜びし、ヨーロッパの選手権試合に全敗しても許されるほど。でも、彼はミラノ市のインテルのファンだとか。
トリノはスキーやスノーボード等のウインタースポーツが盛んで、2006年冬季オリンピックが行われた。トリノ市近くにモンビーゾ3600m(呼び名?)や、比較的近くにモンテ・ビアンコ4800m(フランス読みモンブラン)が望め、冬は、高くてきれいなアルプスの山脈が眺望できる。下の写真はモンテビアンコ(モンブラン)。
意外だったのは、トリノがチョコレートでも有名な街とのことであった。ヌテッラ(Nutella)というチョコレートから作るペーストも大変おいしく、若者に好まれる。何かに付けて食べるが、そのまま舐めることもある。日本で買えたと言っていた。
トリノの広場の美しさは不思議な魅力を持っている。広場は歴史的な建造物に囲まれ、立派な銅像も立ち、そこで大きな行事やスピーチも行われる。気軽に食べに行けるおシャレなピッサ・ヴィットーレと呼ばれる店もある。スナックをつまみ、ソフトドリンクを飲みながら、気の合った友達とおしゃべりを楽しむ。その後移動して、本格的なレストランで夕食を摂るなど、スローライフを楽しむとか。
学校制度は5,3,5,5年制、高校は5年生まである。日本の高等学校と全く異なるのは、学校に3グレードあり、彼は最も高いグレードの学校に通っている。学校には、文化祭、体育祭、部活もなく、驚くことに入学式も卒業式もない。授業は2時に終了。午前中に間食を食べるが、昼食は帰宅してからとる。試験が頻繁にあるので、家での勉強が欠かせない。1年生から2年生に進級できるのは約半数、5年生まで進級できるのは約1/3だとか。進級できなければ、留年するか、グレードの低い学校に転校するかとなる。彼の学校にはラテン語も選択科目にあり、彼はラテン語も学んでいる。英語もできるので、若いのにすでに4言語を習得していて、語学能力の非常に高い優秀な生徒である。彼は帰国後、日本留学中に遅れた勉強を取り戻し、5年生に進級したいと思っている。
【主な質疑】
Q: イタリアと日本との違いは?
A:日本人は会社中心の生活で余裕がない印象。イタリア人は家族がよく集まる。
イタリアは人口が約半分なので、行列がない。人口が多いとはこういう事かと思う。
日本は交通機関のダイヤが正確。現在電車通学している。イタリアでは時間 が正確でなく、バカンスなどの遠出で12時間位かかっても車で移動。
Q:日本食は何が好きか?
A:ラーメン。梅田の一風堂(?)のメンバーカードを持っている。替玉3回はする。
Q:なぜ日本を選んだのか?
A:第一希望は米国、第二希望が日本だった。AFSのテストがあり、総合的な判断から、他の人より日本向きと判断された。
Q:入学式もないとのことだが、初日から授業があるのか。
A:初日は先生からのオリエンテーションや、クラス分けなどがされる。
Q:将来は何になりたい?
A:弁護士
写真は、彼がサッカーチーム ユベントスとトリノのプレゼンをしているところ。
(おことわり) トリノ紹介の写真は、Wikipediaから転載しました。
【次回の多文化カフェ】
日 時:7月21日(火)14:00〜16:00 (時間帯が違うのでご注意ください)
語り手:画家 井口澄子さん
内 容:学生時代にイタリアに絵画留学、現在はイタリアに住居を構え、日・伊半々
の生活をされている井口さんからイタリア人の暮らしぶりを紹介。
(文責 濱崎)