「勇者たちへの伝言」「空の走者たち」小説で伝えたかったこと
語り:増山実さん

小説家であり放送作家である増山実さんが6月コラボ大学校の話し手として登場していただいた。小説家というのは、みなさんイメージできるのですが、放送作家ってどんな事をする仕事なの?というクエッションが多くの人たちにあったようだ。
川上時子さんのピアノ演奏「バッハ、シンフォニア11番」が終わり、マイクをお渡ししたその時から、ご自身の社会人スタートから放送作家として何本ものテレビ番組を持つに至ったのか、小説家としてデビューでき、現在に至るまでの経緯を、テレビ番組のナレーションを聞いているかの如く語ってくださった。

出版社勤務から放送作家の道に、そこで出会った嘉門達夫氏が春日丘高校の同期で、お互いが刺激し合い、現在の地位にあることに感謝を述べられた。
放送作家の先輩に当たる百田尚樹氏に「本を書き!あとに残るものを書き」と勧められ、本を書こうと一念発起したその時の様子がみなさんのハートを鷲摑みしたようだ。現在、多くの観客を沸かせた阪急西宮球場が無くなった今、球場跡に行くも巨大なショッピングセンターになり往時の面影は無い。
そこで活躍した勇者たちを書いてみようと取材が始まったこと、放送作家の仕事が忙しく阪急電車で宝塚の自宅へ帰る途中、ウトウトしていると車内アナウンスが「次はいつの日か来た道」と聞こえ、えっ自分は今どこにいるんだ?・・・。目が覚め、もう一度聞こえてきたのが「次は西宮北口」だった。
その時から増山さんの頭の中に小説のタイトルは「いつの日にか来た道」で行こうと決められたそうだ。

ここまで来ると、当日の参加者も実行委員であるぼくも、それから?それから?と話の先への興味が膨らむばかりだった。
本が売れない今「無名の自分がどうすれば本を世に出せるのか」と、その後も話が興味深く、賞を取りに行くしかないとチャレンジするも次点となり、出版を諦めかけたが、
「本屋の友人から本にしろ、本が無ければ始まらないから」と背中を押され、原稿を出版社に持ち込んだ。そこで目にしてくれたのが角川書店の社長、角川春樹氏でとても気に入っていただき本にしようと。ただしタイトルは「勇者たちへの伝言」で行くようにとのアドバイスを受けた。納得できない増山氏は何度も読み返し「勇者たちへの伝言」がいいタイトルだと思うようになった経緯、そしてその後に出された「空の走者たち」の取材話が続いた。

それぞれドキュメンタリーで出そうと思ったが、ドキュメンタリーよりも伝えたいことが伝えられるのではと小説にした。とのこと、どちらの本も増山氏の豊富な取材による中身の濃い本だと云うのが伝わってくる。

2冊の本への愛情が溢れんばかりの熱い語りのコラボ大学だった。

(アンケート抜粋)
・いつの日か来た道〜西宮北口、うまいです。(40才代女性)
・作品が完成するまでの過程の話は興味深かったです。(60才代女性)
・一冊の本が出来上がるまでの取材の大変さが判りました。(70才代女性)
・増山さんと嘉門さんが高校の同期と聞いてびっくり。(40才代女性)
・小説を書く時のきっかけ、イメージ、テーマについての話がとても良かった。
 作家ならではの発想なのでしょうか?円谷幸吉の血と汗のエピソードが素晴らしい。(70才代男性)
・「真実と事実の違い」を小説の中での表し方を聞かせてもらって良かった。
 二冊の本の説明がとっても良かったです。ありがとうございました。(70才代女性)
・“作家はもっと偉ぶっている”という先入観を見事に打ち砕かれました。
 出版するまでの初々しい話が聞けて、とても良かったです。(60才代女性)
・近所の親しい人の話を聞かせてもらっている雰囲気がとっても良かった。
 これは、増山さんの開放的な性格ゆえかな。「勇者への伝言」についての話も
 時代的、社会的にも深い内容ということが書かれていると云う事が伝わり、
 購買意欲がわきました。(60才代女性)
・消えてしまった阪急ブレーブスへの思い入れ、故郷、望郷など心に染みました。
 円谷幸吉の実像、2冊のご本を読ませて頂きます。(70才代女性)
・話の内容が楽しかったです。ビーパップハイヒールはいつも大変楽しく見ています。
 小枝不動産も大好きです。これからも楽しみにしています。(60才代女性)
・「空の走者たち」の本を読み始めたところだったので、
 本を書く際のエピソードを聞けて興味深かったです。(60才代女性)
・出版までの色々の思い、人との出会い、懐かしい話も出てきて楽しかったです。(70才代女性)
・話がわかりやすく、知らず知らずに引き込まれ、実際に本を読んでみたくなりました。(70才代女性)

次回代62回コラボ大学校予定
・テーマ 戦国武将・原田氏のルーツをさぐる
・7月11日(土) 14:00〜16:15
・2階 第1講座室
・申込み受け付け 6月22日より

報告:京谷 寛