〜東海道中膝栗毛から見えるトイレ文化の変遷〜
語り:山路 茂則さん
10月のコラボ大学校は、関西空港のおひざ元、泉南郡熊取町に位置する大阪観光大学でで教鞭をとられている山路茂則さん。日本のトイレの有りかたを“文化”の面から考察しコラボ大学校の受講生(聞き手)に判りやすく、且つおもしろく語っていただきました。
いつものように川上時子さんのピアノ演奏「シューベルト作曲ピアノソナタ作品120より第一楽章」が加福氏の解説で始まり、格調高い雰囲気でコラボ大学校が始まった。でも、今日のテーマは『トイレ今昔物語』とピアノ演奏とテーマとのコントラストが大きくて、お話を聞かれる皆さんにとっても「どんなお話?」といつも以上に興味深かったのではないかと思いました。
旅の途中に侍が便意をもよおし町民長屋のトイレを借りる騒動の話を、まるで物語が目の前に展開されているかのように語られ始められました。
話の途中に長屋のトイレの入り口は半分しかなかったのです、さて、その半分とはどのような状態ですか?と目の前の人に質問を投げかけられるんです。
その答えを軸に話が次から次へと展開していき、参加者の皆さんも一気に本日のテーマの『トイレ考』の世界の中に入り込み、食い入るように山路さんの話を聞いておられていました。
トイレの扉が半分しか無いのは、誰かが利用しているのかが一目できる、臭いがこもらない、月明かりが夜の照明になった・・・等々、一つのテーマからいろんな答えが出てくる。ここで、研究者としての矜持「たった一つの現象で当時のトイレはこうであったというのは間違いです。いろんな資料を集めて、当時はこうであったと述べています」とのこと。面白おかしい話ではなく、学術的な話であるという事を述べておられる。
その後、上方女性に立ち小便する文化があったという話から江戸のトイレ話へと話はどんどん展開していき、トイレと云う生活の一隅から、当時の文化がこんな風に見えてくるのか?と興味津々と聞き入ってしまう。
そんな中で、みなさんの興味をひいていた話に糞尿がお金になるという話があった。トイレに溜まった糞尿が当時の農業の肥料になるというのは、なんとなくなく理解できるのですが、誰がお金を頂き、いくらぐらいの収入になっていたのか、また、町民のトイレと武家屋敷のトイレとでは、値段に差があるという事も。
トイレの話から、江戸時代の町並や暮らしぶりが見えてくる話の展開で、話をされている山路さんも、聞いておられる皆さんも時間が限られている事に、未練いっぱいの興味深い話のコラボ大学校でした。
9月から、講演最後に行われる関連書籍案内をしてくださっている司書の方が、当日持参して頂いている数多くの本一覧を資料の一つとして添付して下るようになりました。関連本を探すのがとても楽しく楽になったかと思います。
ありがとうございます。
・次回 第65回コラボ大学校予定
・語り手:八木満夫さん
・テーマ:「人との付き合いに自信がつく実践心理学の知恵」
・日 時:11月21日(土)14:00〜16:15
・会 場:2階第一会議室
・申し込み受け付け中
・報告:京谷 寛