多文化カフェ開催しました。
開催日:16年1月19日(火)10:00~12:00
語り手:辻本正直、サエ子さんご夫妻
テーマ:「私85歳、妻79歳 スペイン サンチャゴ800キロの巡礼」
1月19日になって、ようやく師走を迎えたかと思われるような寒さにも関わらず、24人という多くの参加があり質疑も熱心に行われ、時間を超過するほどでした。
今回は、辻本さんご夫妻による44日間の巡礼の体験談です。フランス サン・ジャ・ピエド・ポーからピレネー山脈を越え、スペイン サンチャアゴ大聖堂までの800kmの巡礼道を完歩されました。スペイン留学中のお孫さんとも無事に会うこともでき、達成感とともに感激も一入のことだったでしょう。
(右上の写真は、大聖堂の前でお孫さんと)
サンチャゴ大聖堂は、キリストの十二使途の一人である聖ヤコブがエルサレムでなくなり、1,000年を経て遺骸が発見された場所に建てられた聖堂です。
ご夫妻は、68歳以降に3度も四国88ケ寺遍路を経験され、一昨年85歳の高齢になられてからのサンチャゴ巡礼をされました。
多文化カフェにふさわしく、冒頭で四国遍路とサンティアゴ巡礼の違いの紹介がありました。
四国遍路は98%が日本人、バス・車での遍路が98%、60歳以上の方が78%です。四国遍路は平地と山地がはっきりしていて、山道を登るのはかなりハードです。遍路は宿泊所費用を入れて平均一日一人当たり約1万円です。これに対し、サンチャゴ巡礼は多国籍の人が多く、地元スペイン人でも30%程度です。歩き巡礼が85%、わずかですが、自転車巡礼、乗馬巡礼も見かけます。60歳以下の人が85%程度。全行程に緩やかな起伏があり、疲れが蓄積する感じです。宿泊所(アルベルゲという)はボランティアの奉仕で運営されているので、自炊の食材を含めても一日約3,000円程度で済むなどなど、四国とはかなり様子が違います。ご夫妻はまだまだ意気軒昂で、今年も88歳になられる誕生月の8月を記念して、4度目の四国88ケ寺歩き遍路に再度挑戦されるそうです。
巡礼初日の宿泊から驚きの連続で、21か国51人もの巡礼者が泊まることになっていました。
(右上の写真は初日のアルベルゲの夕食の状況)
夕食時には英語も話せないのに順番に自己紹介をさせられました。日本人の中でも小柄な高齢者夫妻の巡礼で、一気に有名人になりました。その後の巡礼中もずっと話題の人でした。
多文化カフェ参加24人中6人もの巡礼経験者が参加されており、この界隈の人たちのレベルの高さは驚きです。中でも、最近東京から転勤で豊中に引越してこられた方は、ご夫妻の2か月後に巡礼した際、巡礼中ずっとご夫妻の噂を耳にしていて、そのご夫妻とコラボでお会いできたと、奇遇に大感激でした。
巡礼中特に印象に残ったのは、パンプローナは牛追いで有名な街。そこを通過して、途中にワイナリーがあって、そこでは通過する巡礼向けにワイン飲み放題というサービスがあり、大喜びで頂戴しました。
(写真は壁に取り付けられた蛇口からワインを汲んでいるところ)
サントドミンゴではお祭りに出会いました。ニワトリのとさかを付けてニワトリの格好をして踊ります。祭りの由来は、“ある巡礼者の子供が盗みをしたと疑われ、処刑されたのですが、無実だったと分かり生き返えりました。人びとは人間が蘇るなど信じるはずもありません。ところが、殺したニワトリが蘇ったところを目にして、子供の蘇りも信じるようになり、ニワトリの格好をして祝うのだ”と。聞いていて、旧約聖書で語られるアブラハムの息子イサクの犠牲の話を思いだしました。
(右下の写真は、ニワトリの格好をして踊るお祭り風景)
イラゴ峠には鉄の十字架が建てられています。この塔の根もとは石が積み上げられて小さな丘のようになっています。積み上げられた石には巡礼者の名前や願い事が書かれているので、土足であがることが憚られたと。
(最後の写真は、突端に鉄の十字架が取り付けられたポール)
サンチャゴ巡礼は、大聖堂手前100km前からの巡礼でも巡礼したことになり、証明書がもらえるので、その距離からの巡礼者が多いと言うことでした。
多国籍の人が巡礼するので、道標などはキッチリ整備されていると言うものの、44日間連続の長い歩行なので、途中で道に迷ったり体調不良になるなど、何度かピンチもありましたが、その都度誰からか手がさしのべられ無事に乗り切られました。四国遍路のお接待と同様、人との触れあいに感激の連続で、暖かい満ち足りた気分に浸りました。大聖堂に近づくにつれ、終わるのがもったいないという気分になり、四国遍路と同様何度も巡礼したいという気持ちが強く湧きあがったとの事です。
【質疑】もし時間的余裕が出来たらぜひ巡礼したいと思われる方々から、熱心な質問がありました。
・高齢なのに完歩されたことに驚きましたが、日頃どんな歩行訓練をされているのですか。
・巡礼をされようとしたのは、どんな動機からですか。
・長距離あるかれた靴は、どんな靴を使われましたか。
・四国とどちらがきついか。
などなど多くありましたが、詳細は省略します。
最後に図書館司書から、サンチャゴ巡礼に関連する図書の紹介がありました。また、図書館内に多文化カフェ関連図書のコーナーを設けていますという紹介がありました。
次回多文化カフェ案内
日時:3月22日(火)10:00~12:00
場所:コラボ料理室
内容:インドネシア人のプスピトさんによる料理教室
皆でインドネシア料理を作り、食べながら生活・文化のお話を聞きます。
申込:参加申込み3月1日から受付、材料費600円 定員15名(先着順)
文責 コラボ実行委員 濱崎