2月13日(土) コラボ大学校を開催しました。
テーマ:大阪と能勢とをつなぐ道・能勢街道の風景
〜街道の移り変わりと道筋の史跡(岡町周辺)〜
語り手:瀧 健三さん
タクシー運転手をしながら独学で能勢街道の研究をしてきた郷土史家・安間安人(やすま やすひと)さんが、30年前にタクシー業界の機関誌へ載せた記事をもとに、平成20年以降5年の歳月をかけ能勢街道の全ルートを調査した記録、かつ、街道歩きのガイド本『能勢街道の風景』を平成27年に出版した元教員の瀧健三さんが今回の語り手です。
毎回ご好評いただいている、川上時子さんによるピアノ演奏
『バッハ作曲 インベンションより9番へ短調』を加福共之さんの解説でお届けしました。
講演の冒頭、瀧さんは「こういう街道ものは、現地を訪ねて実際に歩くのがいちばん」
と語りました。1時間40分の講演時間のなか、いかにして街道の歴史と風景を伝えるか苦心したとのこと。今回の講演では、能勢街道の起点から終点までを豊富な写真や地図とともに紹介されました。
大阪市中央区の高麗橋を起点とし、豊中・池田を経て能勢町吉野を終点とする能勢街道は、近世には米・寒天・高野豆腐(三白)や栗・炭・牛(三黒)など能勢の物産を大阪へ送る運搬路であり、能勢妙見宮など寺社への参詣道でした。この街道は、もともと「能勢街道」という街道名ではなく、明治のはじめまで用途先や参詣先をもって「大坂道」「池田道」「妙見道」「銀山道」「馬街道」などと呼ばれていました。明治9年6月太政官布告第60号により「能勢街道」と命名され、地図に載り、道標に刻まれることとなります。
ところで、道標にも様々な意匠があります。お地蔵さんや、方向を指差した手をかたどったものなど。「能勢街道」と刻された道標は全ルート中4件だけとのこと。
能勢街道の道筋は、高麗橋〜梅田〜三国から岡町まで(2ルート)〜岡町〜豊中〜石橋〜西国街道(現国道171号線)との交差〜池田〜川西〜能勢〜吉野
この記事では豊中市域の能勢街道について記載します。
三国から庄内、服部と進むにしたがって、参加者の皆さん、いや、この記事をお読みの皆さんに馴染み深い風景が登場します。街道の中継地・岡町は史跡や文化人ゆかりの地も多く、『男はつらいよ』でおなじみ山田洋次監督の生家が現存します。
能勢街道屈指の難所といわれた、刀根山元町の刀根山公園横「皿池の坂道」(長坂道)を北上すると中央環状線。実はこの辺りが昼でも暗い峠道でした。追いはぎが出没し、旅人を襲っていたといわれていたそうです。
阪急蛍池駅の南にある箕輪池の西堤では、明治43年に阪急宝塚線の前身・箕面有馬電気軌道が開通した頃、新能勢街道が軌道に並行してつくられました。さらに昭和8年、箕輪池の堤と御神山の間を切り崩して現在の国道176号線ができました。
瀧さんは、古い道ほどほぼ直線のルートをたどると語りました。目的地へ早く着くために、つらい山越えや峠越えをしてでも直進できる道筋が選ばれたのです。
豊中市域以外にも、池田市域や一庫ダム等のルート変遷を紹介。古くから、人々の暮らしは街道とともに営まれたとの思いを得たところで会を締めくくりました。
最後に、千里図書館司書より講演に関する内容の図書紹介がありました。
ご参加の皆さんよりいただいた感想です。
○能勢街道の歴史がよく分かった ○街道を実際に歩いてみたい
○街道の風景を懐かしく感じた ○街道について知らなかったことを知ることができた ○身近な地名がたくさん出てきて楽しめた など
アンケートへのご回答ありがとうございました。
次回コラボ大学校は
テーマ:『ぼくはサラリーマンを卒業してからの今を一番楽しんでいます』
〜地域活動、登山、遍路・巡礼を夫婦二人三脚で〜
日 時:3月12日(土)14:00〜16:15
語り手:辻本正直さん
場 所:コラボ第一講座室
申込み:コラボ事務局 06-6831-4133
(ツツミ)