多文化カフェ ウズベキスタン留学生による自国の文化・生活のお話

5月10日(火)10:00〜12:00目的ホールにて、ウズベキスタン(O’zbekistan)共和国(以下ウズベクと略記)からの阪大留学生シュクロス・ジャスル(Shukuros・Jasur)さんに、ウズベクの概要や生活についての紹介をしてもらいました。
 5月としては、やや気温があがらない雨模様の天気でしたし、日本では余り知られていない国でしたが、20名もの参加者があり、その他にも席に付かず、事務所前のベンチで熱心に聞いておられた方が、5名もいました。
ジャスルさんは、法学部国際公共政策学科の4回生で、午後、就活の面接があるのでスーツにネクタイ姿でした。礼儀正しく流暢な日本語で、国の基本情報から日本との関係まで整理され分かりやすく紹介されました。

○国の基本 ウズベクは中央アジアの旧ソビエト連邦の国で、トルクメニスタン、タジキスタン、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスに囲まれた国です。欧州のリヒテンシュタインとともに、二重内陸国(国境を2回経なければ海に行けない国)です。面積は日本の1.2倍で、人口は約3,150万人です。国名は、O’zは自分、bekは君主、istanは土地のことで、国民主権の国という意味を表しています。民族はウズベク系、ロシア系、タジク系、タタール系等の多民族国家で、細かく分けると140種族もあります。因みにジャスルさんは、トルコ系で、ヨーロッパ系の顔だと言うと、余り嬉しくない表情でした。モンゴル系の人も居て、日本人に似ています。

言語はウズベク語を約75%の人が使っていて、その他タジク語、ロシア語が使われています。文字はアルファベットに似ていて、発音はドイツ語に似ています。
日本語に似た言葉もあり、疑問はgumon、まんざらはmanzaraというそうです。

○宗教 国民の90%がイスラム教徒(スンニ派80%、シーア派10%)ですが、(東方)正教5%、その他ユダヤ教、仏教徒が5%います。政教分離されていて、このことが治安のよい国になっているのではいかと思われます。ウズベクへ行かれた人は、”安全で、親日的なので、ぜひ行かれたら”とすすめていました。
○料理 バロフ(馬肉、米、レーズン、卵等々を使った代表的料理)、マンティ(豚まんじゅう)、キャボフ(カバブ)、ノン(ナン)等々がありますが、味見できず残念。
(写真は代表的な伝統的な食物パロフ)

○歴史 紀元前から、征服したり、されたりをつい最近まで繰り返していました。戦いのスケールの大きさは、日本の戦国時代とは桁違いの大きさ、長さです。アケメネス朝時代(BC550〜330)、アレキサンドロス大王とヘレニズム時代(BC329〜63)、イスラム帝国時代(AD715〜888)、モンゴル帝国時代(1220〜1370)、ティムール朝時代(1370〜1507)、帝政ロシア時代(19世紀後半〜1917)、ロシア革命とソ連時代(1917〜1991)と続きました。

第二次世界大戦にソ連軍の一部として参戦、この戦いで、人口わずか650万人の国なのに、50万人もの犠牲者を出し、大きな犠牲を払った。1スム札にはナヴォイ劇場が描かれていますが、この劇場は、日本人捕虜が強制労働で建設した建物です。地震発生時、周辺の殆どの建物が倒壊したのに、ビクともしなかったということで、日本人の仕事が評価されています。こんなに遠く離れた国ですが、大戦で亡くなられた方々を葬った日本人墓地もあります。 (写真は、日本人が建てたナヴォイ劇場)
1991年独立宣言後共和国になりました。1991年に独立宣言し、9月1日は独立記念日です。

○産業 ウズベクは資源の豊富な国で、綿花栽培が盛んで、世界第7位の生産があります。その他天然ガスや金(80t/年)の産出も豊富で、輸出もされています。

○景観・気候 山岳、森林、平野、都市景観が四季折々に楽しめます。ただ、乾燥した内陸気候なので寒暖の差は大きく夏場42℃から冬場-10℃になります。

○観光 サマルカンド(アジアの真珠と呼ばれる)にはイスラム文化の建物が多く残っています。首都のタシケントには現代建築が並び、地下鉄もあります。それぞれの駅ごとに特徴があります。例えば、米国も含むソ連の宇宙飛行士の肖像が飾られた「宇宙飛行士」という名の駅や、「独立広場」、「アーモンド」という名前の付いた駅もあります。

○スポーツ 国技はクラシュという柔道に似たスポーツですが、何といってもサッカーが人気です。最近タシュケントの自宅から徒歩10分以内の所にサッカー場ができ、観客が熱狂した時は、声が家まで届きます。

○主な質問
 Q:海のない国ですが、海を見てどう思いましたか。
 A:海はありませんが、ウズベクは琵琶湖の約2.5倍もあるアラル海という塩湖に接しており、海のようです。しかし、日本の海はとてもきれいで、心に深く強く訴えて来るものを感じます。
Q:なぜ日本に来ましたか。
A:TVで“おしん”を見たから。日本のドラマは面白いので、日本はもっとTVドラマやアニメがもっと見られるようにしたらどうか。今は韓流ドラマが凄い人気ですが、やや飽きられつつあります。

Q:中央アジアの国ですが、最近中央ユーラシアという呼び方がされているが、どうか。
A:聞いたことがない。ユーラシアと言うと、地域が広がり過ぎ、やはり中央アジアと言いたい。

 むずかしい質問にも丁寧に答えて頂き、参加者の皆さん満足の様子でした。
はっきり言われませんでしたが、ソ連統治時代は制約も多く暗い時代だったようで、現在のウズベクを大切にしたいと言う思いが言外に伝わってきました。

次回は、7月19日(火)10:00〜12:00 コラボ多目的ホール
内容は、フランスで10年間過ごした垣花蕙さんから「フランスの生活と学校生活」を紹介してもらいます。
以上
文責 濱﨑