開催日 5月14日(土)
タイトル 「卑弥呼が魏に遣わした使者をつきとめた」
語り手 上田充夫さん
定年退職後、趣味など活動的な毎日をお過ごしの上田さんは古代史研究論文「卑弥呼の使者は尾張氏の祖先 —難升米は饒速日尊の血を引く妙斗米—」を奈良県の出版社に応募し採用され、他の4人とともに「論考邪馬台国&ヤマト王権」(青垣出版)として2014年11月に出版された実績をお持ちです。
2月におこなった打ち合わせの席で上田さんのお話を伺う中、こんな疑問が沸いてきました。
難升米(なんしょうまい、なしめ)とか妙斗米って、おコメなの?
上田さん「人名ですよ。でも、おコメにも少々関係あるんです」…歴史に疎過ぎる担当です(%涙%)
コラボ大学校開催当日
恒例の音楽演奏は、加福共之さんの解説と川上時子さんのピアノ演奏による
モーツァルト作曲 ピアノソナタk310 第2楽章をお届けしました。
邪馬台国、卑弥呼および卑弥呼が魏へ送った使者の正体については様々な説があります。上田さんは会社勤めをしていた40代半ばに日本古代史を勉強する同好会へ参加し、奈良の大神神社の祭神を調べるなかで、神武天皇より前に大和地方を治めていたと伝えられる饒速日命の子孫(尾張氏・物部氏)が卑弥呼の使者の正体であるとの結論に至るまでの調査結果を話されました。
この記事では上田さんがお伝えした内容の一部をご紹介します。
◇卑弥呼が魏に遣わした使者たち
・初回(238年) 大夫難升米 次 都市牛利
・2回目(243年) 大夫伊声耆掖邪狗 等8人
・3回目(247年) 倭載斯烏越 等
・4回目(266年) 「壹与」が大夫掖邪狗 等派遣
◇内藤湖南博士の説
・難升米は田道間守 11代垂仁天皇の命により「非時香菓」を求め常世国に派遣さる
・都市牛利は出石心大臣
・伊声耆は出雲国造・伊佐我(いさが)命、掖邪狗も伊佐我(いさが)命
・載斯烏越は須佐の名族
◇「難升米」に似た名前「妙斗米(むとめ)」の発見
難升米は「難のある、まずい一升の米」
妙斗米は「妙なる、うまい一斗の米」
◇「妙斗米」を「難升米」に改変した理由
①漢字文化圏には目上の人を諱(いみな)で呼ぶことを忌避する慣習がある
※諸葛亮孔明 の場合:「諸葛」は姓、「亮」が諱、「孔明」は字(あざな)
②魏では「五斗米道」は国教に等しい宗教であり、「妙斗米」が「五斗米(ウートーベー)」に似ているので、諱同様、改変しなければ責任問題となる
※五斗米道とは2世紀ころから始まった不老長寿の神仙思想を背景とする信仰。呪術的な儀式により信者の病気をなおし、難民に対しては無償で食料を提供。信者に五斗の米を寄進させた。『魏志倭人伝』の卑弥呼に関する記述に「鬼道につかえ、よく衆を惑わす(大衆の心をつかむ)」とあるが、「鬼道」とは五斗米道をさす
③中華思想により、東夷にはふさわしくない名前との蔑視による
・「卑」弥呼、「難」升米、都市「牛」利、掖邪「狗」、載斯「烏」越 などの卑字
このほか 伊声耆(いせぃき)、掖邪狗(やざこ)、載斯烏越(そしぬを)、出雲大社や出雲の遺跡群、卑弥呼(後継者も)が持っていたという中国情報網、「前方後方墳」の元稲荷古墳、画文帯神獣鏡、三角縁神獣鏡などのお話がありました。
少々難しい内容でしたが、皆さん熱心に聴講され、質疑応答も活発に行われました。
千里図書館司書の久山さんによる、今回の講演に関する図書の紹介がありました。千里図書館では「コラボ大学校で紹介された本」の展示を設けています。お立ち寄りの際はチェックしていただければ幸いです。
【次回のコラボ大学校】
日時 6月11日(土) 14:00〜16:15
会場 コラボ3階 第1講座室
タイトル 『みゃーくうた やいまうた 〜宮古・八重山 島々に生きるうたを求めて〜』
語り手 吉岡久範さん(宮古民謡奏者) 北林直樹さん(八重山民謡奏者)
申込み コラボ事務局 TEL 06-6831-4133
(ツツミ)