8月のコラボ談話室「古典の楽しみ」

8月6日(土)、コラボ談話室「古典の楽しみ」(話題提供:藤原千惠子さん )を開催しました。参加者は15名(うち初参加2名)。藤原さんは、源氏物語1000年紀にあたる2008年に開催された源氏物語のセミナーに参加してからその魅力に惹かれ、この8年間源氏に親しんでいる。源氏物語の魅力は、日本語(ひびき、リズムなど)が美しいこと、登場人物約400人を配して多彩に展開されるストーリーの構成が巧みなこと、風や光、音、匂いなどの小道具を情景描写にうまく使っていること。こんな物語を1000年も前によくぞ書いてくれたと感心する。今日は源氏物語を中心に古典の楽しさについて語りましょうと話しました。
進行役の濱崎さんの質問「源氏物語を読んだことのある人」に対して、ほぼ通して読んだ人は1〜2名、少し読んだ人が3〜4名、残りの人はほとんど読んでいないでした。そのあと、次のような談話が続きました。

公民分館の6回講座で全ストーリーを聞いたが今は覚えていないように、原文を読まないと記憶に残らない/源氏を読むと人の気持ちは昔も今も変わらないと思う/村山リウの講演テープを聴いてから、友人3人で源氏を読んで感想を出し合う会を続けてきた。源氏に因んだ史跡が多い京都に近い大阪に住めているのは有難い。源氏物語は、典礼・行事・しきたり、着物の重ね、楽器など、当時の生活を知ることができる資料でもある/女性の紫式部が女性の視点で書いて、読者にも女性が多いと言うことは、どういうことだろう/源氏が女性を垣間見て、髪を強引に引っ張ってことに至るという、今ではレイプと思われるようなことも書かれている/源氏物語に使われている言葉の”あや”のようなものが読んでいて楽しい/あらすじはWebでも読めるが、やはり読んだときの日本語が美しく、テープで聞くと子守歌のようだ。色の種類も多く、それぞれの名前もきれい/

「にびいろ」の形容詞があるように、同じ黒でも死者との関係の度合いによって黒の度合いが変わる/リズミカルな”流れ”の美しさがある。イスラム圏で言葉の美しさが変わるからコーランを日本語に翻訳しないでくれといわれたが、源氏物語もこれに近いかも/当時は紙が貴重だったから読んで聞いてもらったり、書き写した。源氏には源氏、枕草子には枕草子のリズムがある。源氏は5年ぐらい続けるといろいろなことが分かり、文章にも慣れておもしろくなる/どの程度の都市や人口の密度の中で書かれたのか、仏教の影響はあったのか、作者はどういう動機で書いたかなど、源氏が書かれた社会や背景などを考えてしまう/紫式部は道長の娘の彰子(しょうし)の女房を務めており、道長をパトロンに源氏を書き始め、それが好評だったから、前へ後へとストーリーを展開したと言われている/末法思想など仏教の影響は受けている

源氏は好色家のだらしない人ではなく、一度関わった女性は最後まで面倒を見ている/当時結婚という概念はあったのか?/女のところへ3回通うと結婚成立とされたがそこに至るプロセスはかなり複雑/紫式部は光源氏を書きたかったのではなく、光源氏と関わった女性を通じて多彩な女性像を描きたかったのでは/源氏物語はそれぞれが完結しているから、おもしろいと思ったところから読み始めたらよい/1000年も前に書かれた源氏物語は、日本が世界に誇る「世界文学遺産」だ

最後に進行役の濱崎さんは、源氏物語の時代は「仄か(ほのか):かすか、ぼんやり」な時代だったのかと感じた。今日は、藤原道長の末裔かもしれない藤原千惠子さんに話題提供いただき、楽しい時間を過ごすことができましたと結びました。

次回の予定は次のとおり
●と き:9月3日(土)10〜12時
●ところ:2階 多目的スペース
●テーマ:「私たちの未来を語ろう」 
 話題提供:吉澤久雄さん(「どこボラ」代表)
私たちは、ややもすると昔のこと、困ったこと、人のことを語りがちです。年をとればなおさらです。しかし大切なのは、これから・・。できてもできなくても、たとえ夢物語に終わろうとも、「これからやってみたいな」「こんなことができたらいいな」を持ち続ければ、新しい明日が開けるのでは?私たちの未来をフランクに語りあいましょう!

(やまもと)