数日前は、大雪があり大阪でも積雪がみられましたが、穏やかな好天に恵まれたなかで、オランダ人留学生のトムさんから、オランダの暮らしなどの話をしていただきました。
当日の参加者15名の内、オランダに行かれた人が4名おられました。
テーマ:オランダ王国の文化と生活
語り手:トム・ヴァンダムさん
トムさんは、オランダのライデン大を卒業後、台湾で中国文学を学び、本年4月から阪大院にて、明治時代に日中間で交わされた漢文の外交書面など、日本側から見た漢文の研究をしています。ライデン大は国内で最も古い大学で、500年前に設立されています。シーボルト記念館もあります。日本語は来日前に喋れるようになっていて、「今日は日本語がスムーズに出てこない」と言っていましたが、漢字がスラスラ読めるので、全く問題ありませんでした。アニメが日本の制作とは思わず見ていて、日本語にも興味を持つようになったそうです。
まず国の呼び方について、日本では「オランダ」という呼び方をしますが、「オランダ」とは、極一部の省の名前で、世界では「ホランド」、「ネザランド」、「ダッチ」などと呼ばれます。
トムさんは、オランダ地方出身ではないので、「オランダ人」と呼ばれると少し違和感を感じるとか。国王もおられ女王の時代もありました。現在の女王は、かつて植民地であったアルゼンティン出身です。他のヨーロッパの国王と同じく、政治的な力はありません。
歴史の大きな流れは、ローマ帝国、フランク王国、神聖ローマ帝国、ハプスブルグ侯爵領となり、それ以降も欧州列強の支配を受けました。1945年ドイツから解放されました。逆に他の大陸などに植民地を持っていましたが、1949年にインドネシア、1975年にはアフリカのスリナム共和国がオランダから独立しています。
オランダは、各国の文化を取り入れ共有することのできる柔軟な考えの国で、トムさんは、8か国語が話せるそうです。
王族の名前オランジはオレンジという意味で、オレンジ色がオランダのナショナルカラーになっており、サッカーチームのユニフォームの色もオレンジです。オランダ人はヨーロッパで一番背が高く、男の平均身長は185cm、女で174cmです。因みにトムさんは191cmです。70年代モロッコ人種やペルシャ人種が労働者として移民してきたので、その後身長は伸びていません。
続いて料理のお話。イギリス料理は評判がよくありませんが、オランダ料理はイギリスよりさらによくありません。3食とも、基本的な食材はパンとジャガイモその他の野菜、ソーセージ、それとチーズにチョコレートペーストです。オランダを代表するゴーダチーズは1個15〜20kgの円盤状のチーズで、日本製よりかなり安くてクリーミーです。お正月に帰国した際に持てるだけ持って来ましたと、カンナのような専用カッターで削って参加者全員に味見させてくれ、あちこちから「やっぱりおいしいですね」という声が聞こえました。午後4時頃から、仲間でコロッケをあてにビールを飲む人が多く、その延長で早い時間帯に夕食を摂ることもあります。
オランダを代表する風景は運河沿いの三角屋根の建物、風車とチューリップです。チューリップはトルコ原産で、オランダに持ち込まれましたが、投機的な取引の対象となって一気に広がり、世界的にも有名になりました。チューリップのテーマパークがあります。
道路が狭く坂道がないので日常の交通手段は専ら自転車です。総理大臣も自転車で国会に行きます。箕面市は一部の道路に専用道路があるくらいで、道路に階段があったり自転車にとっては不便です。オランダの土地は、元は沼地で16世紀に開拓されました。そこからオランダには “世界は神が創ったが、オランダはオランダ人が創った” という古い冗談があります。山はなく、ベルギーに近い高い所でも海抜200m以下です。重要な施設も海抜以下で、スキポール空港は海抜マイナス10m、ライデン大もマイナス15mです。天災はほとんどなく、第2次世界大戦直後にインフラが破壊されていたため大洪水に見舞われましたが、現在は対策がなされています。
トムさんからのお話は終わり、図書館司書さんからの、ミッフィーでおなじみの画家ディック・ブルーナについての本についての紹介をはさみ、質疑応答へ。
主な質疑は、日本との比較を中心に記載します。
1. 日本の子どもは学校の後、塾へ行くなどして遊ぶ時間が少なく勉強ばかりしている。オランダには塾はありません。子どものときにしかできない時間を大切にしています。
2. 日本人は電車を待つとき列を作りますが、オランダ人の行儀はよくなく列を作りせん。日本人はルールをキッチリ守る国民ですが、大阪はややルールを守らない人が居ます。あまり厳しくするより、大阪ぐらい少し自由があるのが丁度いいレベルと思う。大阪は荒っぽいところも、優しさもある。
3. ゴミ出しの際には、何か見張られている感じがして落ち着かない。
4. オランダの学校は飛び級も落第もある。落第は恥ずかしいことではなく、分からないことをキッチリ理解する方が大切。
5. 雨でも雪でもレインコートと帽子を使い、傘をさしません。この習慣は日本でも続けています。
次回の多文化カフェは3月7日10時〜11時半 3階の第3講座室にて、スーダンからの留学生ニーマさんによる、「スーダンの生活と文化の話」を開催します。ぜひご参加ください。