第28回 千里コラボ大学校を開催致しました。

第28回 千里コラボ大学校を10月13日(土)に開催致しました。

オープニングは恒例の加福共之さんの解説に、川上時子さん
のピアノ演奏。バッハ作曲「15の三声のインヴェンション第2番
ハ短調アンダンテ コン モート」。夏の暑さから解放された身体と
心が癒されていくような、心地よさを感じさせられる演奏を、お楽し
み頂きました。

講演は「與謝野晶子と『源氏物語』」と題して、平子恭子さんに
お話して頂きました。
平子恭子先生には、昨年11月の「與謝野晶子の巴里だより」に
続いて、2回目の登場です。先生から『源氏物語』54帖を3ヶ月
で読破したとのお話を伺い、ご多用にも拘わらずご無理なお願い
をして、今回講演の運びとなりました。

堺の三河屋で生を受けた晶子は、「紫式部は私の11・2歳の時
から恩師である。私は20歳までに『源氏物語』を幾度通読したか
知れぬ」と言っています。晶子の思想形成に果たした『源氏物語』
の影響の大きさをお話頂きました。

晶子は生涯に亙って3回その現代語訳に取り組みました。初回
の作品に対しては2回目を手掛けるまでの20年間恥じ続けたと
言っています。続く2回目の作品は宇治十帖の手前までの語訳が、
大正12年9月1日の関東を襲った大地震により焼失してしまった
時の落胆振り、そして昭和7年の秋、今迄の記憶を頼りに3回目に
挑戦し、昭和13年1月全6巻が完成しました。ちなみに晶子の
亡くなったのは昭和17年5月です。晶子の多くの作品の中でも
これに掛けた晶子の思いに、心を打たれる気持ちがいたします。

『源氏物語』が書かれてから1,000年、400名以上の登場人物
と795首の歌。シェークスピアより500年以前に書かれた物語で
あること。併せてその現代語訳では、與謝野晶子の感性、谷崎
潤一郎の原文を感じさせる文章という点で、双璧ではないかとも
お話されました。

 当日のテキストでは晶子の歌が載せられていました。晶子の
人格形成・源氏物語に関わるもの等、その幾つかは講演の中で
解説して頂きました。それらの代表作は晶子を知るうえで参考に
なるものであり、今後私達の日常生活でも役立つものと思われました。
 先生は『梗概源氏物語』等の通常では目にすることの出来ない
本をお持ち頂き、受講者に回覧して頂きました。この本には晶子の
『源氏物語』の自筆原稿を写真撮影したものが掲載されており、
大変貴重なものを拝見することができました。

先生の晶子に対する長年の研究の成果と『源氏物語』とを絡み
合わせての講演であり、聞き応えのある講演会でした。アンケート
では機会があればまたお話をお聞きしたいとの、希望が寄せられ
ていました。

最後は恒例により、千里図書館の石田ひろさんによる関連図書の
紹介をして頂きました。

 (原田)