講演は「歌の力・声力 —歌うことを通じて、声を再構築、
そして身も心も健康に—」と題して、角地正範さんにお話
して頂きました。
・恒例の音楽演奏は、川上時子さんに角地正範さんの
歌曲の伴奏をお願いしたことにより、見送りました。
・講演は映画「慕情」のテーマ曲で始まりました。テノー
ルの歌声が心地よく会場一杯に拡がりました。角地さん
は豊中第14中学校を卒業と豊中との関わりを、現在は
短大で教鞭を執っていることを話され、関西でクラシック
を学ぶことの苦労もご披露頂きました
・小さな筋肉である声帯が擦れ合う振動によって声が
出ること、人間の声帯は言語用でなく音色用であること
から講演は始まりました。500万年程前の猿人は二足
歩行が出来るようになり、両手の使用で口は物をくわえ
る機能から解放された。人類の得たコミュニケーションの
手段である「言葉」は、他の動物と異なる点である。
![](/img/u651/FI47178_0E.jpg)
ネアンデルタール人は言葉と歌を両方使っていたが、
現代人は言葉を話すことが主流になり、歌うことが特別
なこととなった。併せて大きな声を出すことが憚られる
時代背景もある等、声の歴史についても話されました。
歌声には話す時とは違った情感や懐かしさを感じるもの
であること、人間の発声器官の発達は、歌うことがスタ
ートであり、話すことは歌を文節化することにより発生し
たものであるとも話されました。
・犬・猫・烏の鳴き声や濁音を巧みに操り、その鍛えた
声帯と音を響かせる見事に表現力で会場は大いに盛り
上がりました。
・声を出さずに携帯によるコミュニケーション、通信機器
の発達による放送設備の普及、日本語の本来の音声を
生かす、母音と子音の使い方等にも触れて頂きました。
小学生の五十音の読み方を聞いていると、日本人は声
を潰すことを好む民族か、と疑いたくなるとのお話もあり
ました。城主が100人程の家臣を城内に集めて押し殺し
たように話す日本語、晴れ渡ったコロシアムで大勢の
人々に大声で訴えるローマ人、日本人とイタリア人の話
し方の違いを見事に言い当てていると、納得しました。
![](/img/u651/FI47178_1E.jpg)
・「ん」は咽喉を締め付けてうならせる音声、「N」は鼻腔
を使った響きある音声、のお話もありました。最少の言
葉を小声で話す現代の人々、歌の力を借りて声の力を
取り戻す。いい歌・いい声は人を元気にする、と強調
されました。
・声帯や発声の方法のイメージを、器具を使って解り易く
説明して頂たり、童謡「赤とんぼ」の歌詞に、発声の際の
イメージを表現する工夫を施すなど、私達の理解が困難な
イメージの世界をより分かり易く説明して頂きました。
時々の笑いを誘う講演内容は、豊かで楽しいものであり、
このような先生に指導を受ける学生の幸せ振りを感じなが
ら聞き入っていました。
・講演中に「初恋」「O sole mio」をご披露頂き、最後は
全員で「千の風になって」を歌って講演は終了しました。
・受講者76人、うちアンケート記述者49人、多数の「感動
した、面白かった」の声を頂きました。机も無い状態で心
を籠めて書いて頂いたアンケートは、今回の講演の成果
を物語るものでした。ご多用の中諸準備の上で、ご講演
頂いた角地正範さん、ありがとうございました。
・講演会の締め括りは、千里図書館司書の浅尾知弘さん
より、関連図書の説明を頂きました。抒情歌・声帯・日本
語など多くの図書をご準備頂き、時間の制約のある中で
ご案内頂きました。有難うございました。
(原田)
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