_山城げんき村 神戸大学経済学部中川ゼミ3回生 演習田 はじめの一歩

実地演習1コマ目

たいへんなことになってしまいました。

昨年から山城げんき村に、協力していただいている。
神戸大学経済学部中川ゼミの2011年度演習(ゼミ)3回生の皆さんが、休耕田を利用してお米を栽培するという計画が、策定されてしまったのです。

右の画像が、水稲の作付けの予定されている水田です。

おおまかな場所は、以前に紹介した。朝来市の安井谷老人福祉センターから歩いて、約50歩くらいの道路をはさんで、斜め向かいの圃場になります。

道路と歩道に面して、フェンスが設置されていて、シカさんとかイノシシさんとかは、無闇に立ち入り出来ません。

そしてこの道路を上りきった先には、レストランの山城の郷があって、さらに登るとあの但馬・竹田城跡に辿りつく、かなり交通量のある道路沿いです。

つまり但馬・竹田城跡を訪れる観光客の皆さんとか、通行される衆人の注目を集めての活動になるのではないでしょうか?

さて、それではいよいよ、お米のつくりかたです。お米の作り方の初歩をご紹介しましょう!

まずは、稲を植える田んぼの準備をしなければなりません。

まだ田圃の様子は、こんな感じで、まさに休耕田といったところです。

1. 田んぼを耕す

良い米づくりは、土づくりから始まります。田んぼに栄養をたっぷり含ませるため、肥料を入れて寝かせ、大切な苗を健康に育てられるように土づくりをします。

今回は、急遽水稲を栽培する予定となったので、田んぼに有機肥料を入れて、ひと冬寝かせる土づくりは出来ませんでした。仕方が無いので、有機肥料ではなく、即効性の無機の化成肥料で土づくりをしました。

その後、田んぼの土をトラクターで耕し、苗を植えやすくします。

また、水管理をしやすいように畦(あぜ)作りをします。

耕 起 …田んぼの土をすき起こし、表層部分の土と深層部分の土を反転させる作業。主にトラクターを使います。冬期にする荒耕、春期にする整地耕があります。

代掻き…耕起した田に水を入れ、土の塊を砕き、田の表面を均すことを目的として、上層を攪拌(かくはん)する作業。主にトラクターを使います。

2. 苗を育てる

苗を育てることを、育苗(いくびょう)と言います。

昔は、田んぼの中に苗代を作り、そこに種をまいて苗を育てました。
現在では一般的に種籾(たねもみ)を育苗箱の中に蒔き、ビニールハウスの中で健康な苗を大切に育てています。

まず、種籾を塩水に入れ、沈んだもみをだけを選抜(これを塩水選といいます)。
水洗いの後に種を浸し、水を切り、もみを消毒します。
その種籾を催芽器等で加温し、催芽させていきます。
その後、育苗箱へ保水シート(ない場合もある)→ 床土 → 種籾 → 覆土の順に入れ、一定期間、育苗器等で芽出しをした後、ビニールハウスの中で育てます。

 種籾 
→ 塩水選(えんすいせん) 
→ 水洗い 
→ 水きり → 種子消毒 
→ 風乾(ふうかん)
 (1〜2日間陰干しします) 
→ 浸種(しんしゅ)
(1日平均水温の積算100℃約7日間) 
→ 催芽(さいが) 
→ は種(薄まきに心掛けます)

3. 田植え

育苗箱で健康な苗(苗の長さが12〜13cm、葉が4〜5枚程度)が育つと、今度はこの苗を大きく育てるために、田んぼに植えかえてやります。
代掻きした後、三日間くらい間をおくと土が固まって植えやすくなります。
昔は、一株一株手で植えていましたが、今では田植機を使ってやるのがほとんどです。

株と株の間を26cm〜30cmくらいに設定します。余り株間を詰めすぎると、日光や風が通りにくくなり、病気や害虫に弱くなります。

 4.栽培と管理

健康で丈夫な稲を育てるために、肥料を2〜3回追加します。その後、いもち病など稲が かかりやすい病気やウンカ・カメムシなどの虫の害、雑草と闘い、稲の生長にあわせて田んぼの水を抜いたり入れたりと水の管理をして、まるで子供のように手をかけて育てます。

育苗箱での農薬防除…殺虫殺菌剤を育苗箱段階で散布し、害虫・いもち病の予防に努めます。

除草剤散布…水田に雑草が発生しないように、除草剤を散布します。

除草剤は水を張った状態で散布し、以後1週間は止水します。

中干し…稲の茎の数が目標数を確保したら、田の水を切って、それ以上茎数が増えないようにします。(歩いて足跡が付く程度が目安です)

肥効調節肥の施用…稲の茎を硬くし、分けつを抑制し、稲の倒伏を防止する目的で施します。

追肥・穂肥の施用…稲が育つ上で必要な養分を施します。

病害虫防除…出穂直後のいもち病、カメムシ等の殺虫殺菌剤をまきます。
(気温の高い年はカメムシが多発し、気温の低い年はいもち病の被害が多発します!)

草刈…畦に雑草が生えると、害虫を水田へ誘発します。こまめに刈るようにします。

5. 収穫

黄金色に実った稲を、昔は鎌を使って手刈りしていました。刈り取った稲は天日で乾燥し、脱穀機でワラとモミに分けます。この仕事を1台でこなしてしまうのが、コンバインです。今では、このコンバインによる刈り入れがほとんどとなっています。

刈取りの前に、田んぼの水を抜きます。良く乾燥させてからでないとコンバインが田んぼに入れない上、稲が倒れやすくなります。(かといって早くぬきすぎると登熟しなくなり、品質が落ちてしまいます。)

刈取りは、穂の根元が80%ほど黄色くなったら行います。早すぎると未登熟の青い米に、遅れると胴割れがおこりやすくなります。

6. 乾燥・出荷

コンバインで刈り取り脱穀した籾(もみ)は、出荷のまえに乾燥機で、乾燥させます。またJAに出荷する場合は、脱穀した籾(もみ)のままライスセンターやカントリーエレベーターに出荷します。
 
カントリーエレベーターは籾を乾燥させ、玄米として出荷する施設です。サイロからサイロへ籾を移動させながら、徐々に水分を減らしていきます。

玄米は、飯米(自宅で消費する米)と出荷米(売る米)に分けられ、集められた出荷米は検査を受けて、等級を付けて米卸業者やスーパーなどへ出荷されます。

今年の夏休みに集中的して、水稲の栽培に取り組む予定だという、神戸大学経済学部中川ゼミの2011年度演習(ゼミ)3回生の皆さんは、はたしてどこまで、お米づくりに挑戦できるのでしょうか。

ちょっと心配ですけれど、とっても楽しみです。