_山城げんき村 神戸大学経済学部中川ゼミ3回生 演習田 +はじまりの会

6月4日の田植え(手植え)体験の大まかな活動日程の時刻と画像はこちら⇒。

8:30 田植え(手植え)用稲苗の持ち込み、縄張り

9:00 朝来市安井谷老人福祉センターに集合
 「山城げんき村」の幟を参加者全員で準備設置
 田植え作業詳細を説明

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はじめての田植え体験、当日は快晴

 もしかして、と思っていたら。やっぱり投げ込み田植えとか、空中田植えとかは、一切なしだったんですね。

 本当にひとつの田んぼを全面、すべて人の手で植えてしまうんですね。できるだけ一直線に苗が植わるように、縄を渡してそれに沿って、大勢で手植えしていく作業のようです。

 この日に手植えする苗の品種は、もっとも一般的なコシヒカリで、ちょっと珍しい赤米とか黒米とかもち米で、田んぼアートに挑戦する大実験も計画されていたのですが、また次回ということになりました。

9:10 田植え(手植え)作業開始
 中川ゼミ生を中心に、殿地区住民、一般参加者が手植え(まず練習)
 (背景に写りこんでいるのは、ちょっと有名な虎臥城大橋です。)

10:30 休憩 老人福祉センターで手づくりの鶯餅、ジュースなどで懇談、休憩

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 ところで最近のこと、お米についての新発見のニュースがありました。

ジャポニカ米 古代人が品種改良 神大などが解明

 日本で主に食べられているジャポニカ米について、約1万年前の古代人が草丈の低くなる遺伝子のイネを選んで繰り返し栽培していた可能性が高いことを神戸大や名古屋大の研究グループが突き止められました。6月6日(現地時間)、米国科学アカデミー紀要オンライン版に掲載されています。

 ジャポニカ米は、タイなどで栽培されるインディカ米より粒が短く、草丈が15〜20センチほど低い品種で。約1万年前から中国の南部の長江や雲南の周辺で栽培され、アジア全域に広がったと考えられているが、進化過程ははっきり分かっていなかったのです。

 研究グループは、さまざまなイネの遺伝子を調べ、草丈を抑える「SD1‐EQ」が、ジャポニカ米特有だと解明しました。

 草丈が低いと倒れにくい上、栄養が実に行き渡りやすいため収量が多い。研究グループは、祖先の野生種から突然変異で生まれた低いイネが、台風などに遭っても生き残り、古代人に選ばれて栽培され続けた結果、ジャポニカ米になったと考えられます。

 この遺伝子を生かせば、丈のある品種を低く改良し、高価な肥料を抑えつつ、収量を増やせる可能性があるという。研究メンバーで、神戸大大学院農学研究科付属食資源教育研究センター(加西市)の山崎将紀助教(37)は「古代人の知恵を生かし、特に発展途上国の農業支援につなげたい」と話しておられます。

 もちろん古代人と同じように、中川ゼミ生を中心に、殿地区住民、一般参加者が手植えでジャポニカ米(コシヒカリ)を植えてもらいました。

 どうでしたか、古代人と同じように手植えした感覚は?けっこうバランス感覚と運動神経が必要でしょう?

10:50 田植え開始 

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豊葦原千五百秋瑞穂国(とよあしはらの ちいおあきのみずほのくに)の田植え

 地球環境にやさしい、循環型の生活の重要性が、再評価されている昨今。究極のエコ農業とも言える、できるかぎり手作りにこだわって、お米を作ってみる大実験なんですが。

 かつて日本経済の成長のシンボルで、また大量消費社会の目標でもあった「3C」に代わって、これからの日本の消費経済を牽引する基準はどこにあるのでしょうか。これからの日本の消費習慣を、「3C」ならぬ「3S」というキーワードが提言されています。

 「3S」とは、ソーシャル(Social)・サスティナブル(Sustainable)・シェアラブル(Sharable)のそれぞれの頭文字です。「ソーシャル」は言うまでもなく、社会に貢献できる要素を持った商品やサービスへの関心。「サスティナブル」は、持続可能力。「節約」に代表される従来の狭義な「エコ」を超えた、本来的な意義への脱皮です。そして「シェアラブル」は、「共有」の精神。震災前から若い世代ではひとつの消費キーワードであった「シェア」を尊重する感覚が、ますます広がるのではないでしょうか。

 またこれらのキーワードは、「3C」のように「モノ=商品」の頭文字ではなく「コト=行動」の頭文字であることも強調されています。その消費自体が社会貢献につながり、持続可能社会を実現させ、みんなとの共有につながる。そんな行動に価値を見出されています。これまでも阪神淡路大震災以後から、モノで満たされることに疑問を感じ始めて久しい人たちは、大震災というターニングポイントを経て、新たな生活・消費習慣に前進できるチャンスを迎えているともいえます。これからの日本経済は消費者にも企業にとっても、この「3S」を念頭においたマーケティングが重要になることでしょう。

 現在のような機械化される前の田植えは、地域の集落や地縁者あげての行事のようなもので、もちろん手植えの作業ですから、効率は極めて悪いのはあたりまえ。

 しかし、だからこそ可能な限りの協力者を集めないとならないため、人手を確実に囲い込むための戦略として、共同体としての集落や地縁者の協力を目的として、組織化されてきたのでしょう。

 文化的にも水田の光景は、日本の伝統的文化のひとつといえ、日本人と稲作の深い関わりを示すものとして、田遊び・田植・田植踊・御田祭・御田植・御田舞等、豊作を祈るための多くの儀式・祭り・芸能が伝承されているのでしょう。

12:10 田植え完了‥‥用具等撤収

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はじめての田植え、しかも手植え、お疲れ様でした

 やっぱり、田んぼの泥の中は、歩くだけでも大変で、手植えの作業も慣れないようで、あやうく腰を痛めそうになる参加者続出でした。

 でもどうにか田植えが完了しまして、この画像に並んでるドヤ顔をごらん下さい。だれもかれも達成感と疲労感に満ち溢れた、満足そうな顔をしておられます。

 昔から云われているとおり、米という字は八十八と書くほど、お米作りにはたくさんの手間がかかると言われています。しかし実際には88以上の手間が掛かっています。

 実際に田植えのしかも、直接に手植えという手間と、激痛に近い腰痛を体験してもらって、たいへんな事が実感出来たのではないでしょうか?

12:30 朝来市の地元農業活性化を目的とした「はじまりの会」の役員の協力による食事(5種類のおにぎり、豚汁)で懇談、交流を兼ねた昼食

14:30 解散

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「はじまりの会」のご協力ありがとうございます

 今回の演習田の田植えのお昼のごはんを準備していただいたのは、朝来市で農業の活性化によって、食糧の自給や食育などの問題に取り組んでおられる、お姐さん(決しておばちゃんと呼んではいけません)の集まりである、「はじまりの会」の役員の皆さんでした。

 お昼をおよばれした会場である、この朝来市安井谷老人福祉センターを、翌日の6月5日に使用される準備をされていたので、同じ会場を利用している同士のよしみで、ちゃっかり山城げんき村の活動にも協力してもらうことになりました。

 これで山城げんき村は、強力な「はじまりの会」の協力を得て、鬼に金棒になったようです。やはり昔からこのようにして田植えとかの折々の時に、いろんな人々が互いに協力し合って、ずっとづっと暮らしていて生活してきたのですね。