エボラ出血熱はエボラウイルスによる急性熱性疾患であり、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱とともに、ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一疾患である。本疾患が必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。以後、EVDと略する。
EVDで重要な特徴は、血液や体液との接触によりヒトからヒトへ感染が拡大し、多数の死者を出す流行を起こすことである。そのため、EVDの流行は、しばしば注目を浴びてきた。2014年8月現在、西アフリカ諸国で起こっているEVDの流行は2014年3月にギニアで集団発生から始まり、住民の国境を越える移動により隣国のリベリア、シエラレオネへと流行地が拡大している。EVD患者の発生が持続しており、これまで知られている流行のうち最も大きな流行となっている。なお、WHOは2014年8月8日に本事例をPublic Health Emergency of International Concern(国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態)とし、流行国等に更なる対応の強化を求めている。
1976年から2014年8月時点に至るまで、20回を超えるEVDのアウトブレイクが報告されてきた。自然宿主として、オオコウモリ科のオオコウモリの複数種が自然宿主ではないかと考えられている。
<主なアウトブレイク>
西アフリカ(2014):2014年8月11日現在EVD患者(疑い例を含む)の累計は、総数で1975例、うち死亡例1069例で致命率は54%。国別の内訳(報告国)は、ギニアで510例(死亡377例)、リベリアで670例(死亡355例)、シエラレオネで783例(死亡334例)、ナイジェリア12例(死亡3例)である。6月24日時点(総数618例)で、51例(8%)が医療従事者であった。流行の第一波は、2014年1月から3月にかけて発生し、多くの症例がギニアから、またリベリアからも複数の症例が報告されている。一時、ギニアにおいては症例数が減少傾向にあったが、第二波が2013年5月に始まり現在まで持続し、ギニア・リベリア以外に、シエラレオネにおいても多数の症例が報告されている。エボラ出血熱はエボラウイルスによる急性熱性疾患であり、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱とともに、ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)の一疾患である。本疾患が必ずしも出血症状を伴うわけではないことなどから、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)と呼称されることが多い。