■位置(いち)
車駕之古址古墳は、和歌山市の北西部、和泉山脈のふもとの木ノ本(きのもと)に位置します。平成元年(1989)から始まった発掘調査で、古墳のまわりに濠(ほり)をもつ、県内で最大級の前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)(本体の全長86m)であることがわかり、平成2年(1990)には金製勾玉も出土しました。釜山古墳群(茶臼山古墳・車駕之古址古墳・釜山古墳)の復元の要望し、古墳公園として維持管理・整備保存に努めています。
■金製(きんせい)勾玉(まがたま)
長さがわずか18mmの小さな金属製の勾玉です。成分を分析してみると、約64%の金、約35%の銀、微量の銅からなる合(ごう)金(きん)であることがわかりました。古墳時代の金製勾玉としては、国内唯一(ゆいいつ)の資料で、和歌山県指定文化財(平成7年4月11日)となっています。
■埴輪(はにわ)
埴輪には、筒形(つつがた)をした円筒(えんとう)埴輪(はにわ)と、何かのものをあらわした形象(けいしょう)埴輪(はにわ)の2種類があります。円筒埴輪は、窯(かま)を作り高温で焼かれた須恵質(すえしつ)のものが多く、5世紀代の特長をもっています。
■ 他の遺物(いぶつ)
古墳斜面に堆積(たいせき)した土からはガラス玉がたくさん出土しています。それらは、1mmメッシュのフルイで水洗いして発見されたものです。
このように、車駕之古址古墳は古墳時代中期(5世紀)の県内最大級の前方後円墳で、わが国唯一の金製勾玉を出土した貴重な遺跡です。和歌山市は地元自治会やNPOしゃかのこしの皆さまと協力し、この遺跡の活用を進めています。
★ 引用・参考文献 『車駕之古址古墳』
パンフレット 和歌山市教育委員会(2009)