皆さまこんにちは。ころころ通信委員のムニュです。

今年も猛烈な暑さとなりましたが、お盆が明けると一気に空気が変わり、どこかでコオロギなども鳴き始め、確実に次の季節に向かっているのを感じます。
ムニュは35年間生まれた街を出たことはないのですが、そのうちの20年は統合失調症で過ごしています。
特に15歳の時の急性期の時は、その混乱ぶりから「違う星」へ来てしまったようなえもいわれぬ不安定さがありました。それ以来、ずっと発症前の安定していた自分の感覚、穏やかさに戻れるのなら、死にたくない、一生かかってもいいから、もう一度また安定した状態に戻るんだと自分に言い聞かせてきました。

ですが、その中で、うっすらと人生は一方通行で、今というときは今しかなく、地震で大きな断層が出来たかのように、過去と大きな断絶が出来てしまったのだということも、どこかで分かっていました。

「生き直し」という大きな絶望感にとらわれていました。過去に望郷の念を抱き、破壊された心でどう生きるか。大きな問題のようですが、実は発症した直後から、新たな新しい「故郷」が生まれ始めていました。

病棟で出会った患者さんや医療従事者の方、新しい感覚で聴く音楽、味覚、触覚など、その当時は激しい抵抗感がありましたが、いまとなってみればなぜかその不快感だけが薄れ、懐かしい、あたたかい記憶がときおり浮かぶことがあります。

何もできなくなり、横になりなんとか命を繋ぐ、その日その時を「佇むだけ」で、新たな安らぎはどこかで生まれているのではと思います。
それは発症前も、今も、年老いても変わらない気もします。どこかで季節を感じたり移ろいゆく陽の光を感じたり、生きている限り誰にでも与えられるささやかな安らぎを生きることかとも思います。
 ムニュ